慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

二分の一成人式と二分の三成人式?!

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 もともと成人式というものにあまり興味がなかったせいか、成人の日が過ぎていたことに今日気が付きました。お寺の日常からすると、土日、祝日があまり関係ないので、忘れてしまうことが時々あるのです。

 私が成人式に興味がないのは、人がいつ大人になるかは、個人差が大きいと思うからです。もちろん、法律や選挙権など、基準を決めなければならないことはあるので、20歳又は18歳で「成人」とするというのは仕方がないでしょう。しかし、本当の大人、つまり自分の足で立ち、自分の意思で行動を決めて実行できるようになるのは、それぞれ違うと思います。恥ずかしながら、私は本当の意味で自立した人間になれたのは30歳過ぎてからかも・・・

 さて、その成人式の記事を読んでいて、「2分の1成人式」というのがあることを知りました。10歳の小学生に「大人への道の半分」ということでイベントをする学校があるというのです。それぞれの親への感謝の手紙を書いたり、自分の名前の由来を調べたり、10年の成長過程を示す写真や物などをそろえて見せたり・・・う~ん・・・一見良いことのようですが、家庭の事情は無視?なのかと疑問に思えます。

 日本では、どの子供も「仲の良い父母の揃った、温かい家庭」で育つと思われているのでしょうか?条件の整った家庭で育つ子供ばかりではないでしょうに・・・親に虐待されている子供もいるかも??

 いろいろと思いがあって、一概に「心温まる親子交流のイベント」という風には受け止められないなぁ・・・と思っていました。すると、今朝、ラジオを聴いていたら、なんと「2分の3成人式」をやるという話が出ていました。

 何か聞き間違えたのかと、皿洗いの手を止めてラジオに集中してみると、どうやら「成人式から10年たった30歳の人」を対象にした大垣市役所のイベントのようです。

 市の公式サイトによれば「成人式から10年が経過し、仕事、結婚、出産や人間関係等、人生において多くの経験を重ね、自覚と責任を持った本当の意味での大人になる世代である30歳を対象に、地域とのつながりの再確認、新たな仲間や希望を発見するイベントねて集まりましょうと呼びかけています。」だそうです。

 このイベント、興味あるなぁ・・・いったいどんな人が「参加してみよう!」と思い、いったいどんなイベントなら「地域とのつながりの再確認、新たな仲間や希望を発見」できるのでしょうか?いや、純粋に好奇心を刺激されます。

 どんな服装で来るのかしらん??

 30歳なら、それぞれの人生の方向が一番バラバラな時期かもしれませんね。既婚、未婚、子供の有る無し、仕事などなど・・・共通の話題をどうやって見つけるのかも興味深いところです。

◎今日の写真は和歌山市の寺町にある護念寺です。本堂の前に大きな蓮の花が!極楽に生まれるときは蓮の花のうてなの上に出現するとか。なんだか極楽気分が味わえそうです。

 

再び日記を書き始めました

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 年の始めですから、いろいろと「今年の決意」などを考えていました。でも、年が明けて数日しかたたないのに、もう挫折して我ながら呆れるもの多数。でも、日記の再開はなんとか続いています。

 私は旅行ライターの仕事を始めてからずっと日記をつけていました。いろいろ試行錯誤した結果、NOLTYの3年日記にたどり着きました。一つの日付が三つに分かれていて、三年間を比較できるようになっています。

 「ああ、この仕事をしてから、もう一年かぁ・・・」とか「あれ、この料理を食べたのは2年前?」なんていろいろ思い出したりして、なかなか楽しい。書き込める文章量も限られているので、業務メモみたいな感じになってしまうのも良いのです。あまりその時の感情を細かく書くのではなく、記憶を呼び覚ますような「キーワード」を書くだけにすると、思い出がかえって鮮やかによみがえります。でも、「キーワード」の意味をすっかり忘れてしまって、何を書きたかったのか首をかしげることもありましたが・・・。

 しかし、去年の後半はほとんど白紙。何か気持ちの中にわだかまりがあって、記録したくない・・・という思いがあったのかもしれません。単純にめんどくさくなっただけかもしれませんが・・・

 ともかく、日記再開です。どこまで続くかな?

 今年は「継続は力なり」という言葉を大切にしたいと思っています。

◎今日の写真は徳川御三家の一つ、紀伊徳川家のお城です。天守閣は国宝でしたが、第二次大戦の和歌山市大空襲で炎上してしまいました。しかし、市民の熱意で戦後まもなく再建されました。お城の中で、その再建工事の古いフィルムが上映されています。ほとんどが手作業!作業をしている人たちはなんだか痩せていて・・・この工事が戦後の雇用促進事業の一つだったのではと想像してしまいました。

1月の満月写経の会は12日です。

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 今日は一日中とても寒い日でした。雨もしとしと・・・今年から、毎日散歩に行こうと張り切っていたのに、出鼻をくじかれました。冬の長いカナダでは「モールウォーキング」という言葉があります。ショッピングモールの中を歩いて運動するというものです。慈雲寺の近くにもイオンの巨大ショッピングモールがありますから、雨の日はそこに行くのが良いかも。大須の商店街もアーケードになっているから歩けますね。雨だからといって、一日中座り込んでいるのはまずい!

 さて、今夜はお月様は雲のなかですが、満月は近づいています。今月の満月は12日です。月の光を浴びて、ゆったりした気持ちで写経をなさいませんか?

 慈雲寺の写経は「心穏やかに」がポイントです。足が痛くなったら、足を延ばして一休みもOK。「今日は集中力が続かない」というなら、一文字でも一行でも大丈夫。続きは来月の満月の日でも良いし、別の日に慈雲寺にいらしてくださってもかまいません。慈雲寺では、いつでも手ぶらで来て写経していただけるよう用意がしてあります。

 12日は7時半より御一緒に般若心経を読誦しましょう。その後に、心経について、毎月少しずつ勉強していきます。

 写経は筆ペンを用意していますが、墨をすって筆で書きたい方はご自分で書道用具をご用意ください。

◎公共交通での慈雲寺へのアクセス
  名鉄有松駅前から、「有松12番 有松町口無池行き 地蔵池経由」に乗ってください。これらのバスに乗り、郷前(ごうまえ)の停留所でお降りください。そのまま道なりに進むと郷前の交差点に出ます。角に鍼灸院があり、その右手の細い坂道を上がると慈雲寺の屋根が見えてきます。
   また、時間はかかりますが、地下鉄の鳴子北駅から出ている「鳴子13番」のバスも郷前に停まります。
●栄のバスターミナルからは森の里団地行きのバスが一時間に一本出ています。この場合は、郷前の停留所から道を戻って郷前の交差点に行ってください。
●JRの共和駅からタクシーで5分。市バスはありません。「郷前の交差点近くの慈雲寺」とおっしゃってください。慈雲寺を知らないタクシーの運転手もいますので、その場合は郷前の交差点の鍼灸院で降りてください。鍼灸院からお寺の屋根が見えます。

◎今日の写真は障子に映った光です。時々、こんな風に光が踊っているのを見ることがありますね。風で外の木や草が揺れたりすると幻想的で、いつまで見ても飽きません。

本当に大切なものをつい粗末に扱ってしまう

お釈迦さまのお言葉

「ことばが怒りを放つのを抑えなさい

ことばをしっかり抑制しなさい

ことばによる悪い行いを捨て

ことばによって善い行いを修めなさい」(法句経より)

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 先日、哀しい話を聞きました。いつも介護してくれる同居のお嫁さん(Aさん)のことが不満で、何かと嫌味を言ってしまうBさん。本当は、思うように体が動かすことができないもどかしさや、老いていく自分の行く末への不安が「怒り」になって、一番近くにいる人にぶつけてしまっているのです。

 たまにやってくる自分の娘Cさんには、Bさんは感謝の言葉を何度も言い、たっぷり甘えてしまいます。しかし、お嫁さんにはなかなか「ありがとう」も言えない・・Cさんは、ささいな不備をとりあげて、「もっとお姑さんを大切にしなくちゃだめでしょ!」とAさんを叱ります。

 時折、お土産を持ってやってくるだけのCさんの「気持ち」には喜ぶのに、普段から延々と続くAさんの介護の「実行」は過少評価しかしない・・・

 Bさんのように、本当に大切なものへの感謝を忘れ、粗末に扱ってしまうことは、案外多いものです。

 いつも自分のことを気にかけてくれ、こまめに連絡してくれる友達を粗末に扱い、たまに気まぐれにやってくる友達のことを大事にするということはありませんか?

 自分の身近にあるからこそ、いつもいてくれるからこそ、「当たり前」と思わず、丁寧にご縁を護り育てていくことが大切ですね。

◎今日の写真はウズベキスタンで見た絵です。シルクロードのどこかの町のバザールの様子でしょう。いろいろな民族が行きかい、活気に満ちていた様子が伝わってきます。

 

忘却は罪である

お釈迦さまのお言葉

「すべての者は暴力に怯え

すべての者に命はいとしい

わが身にひき比べて 殺してはならない

殺させてはならない」(法句経より)

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 今朝の朝日新聞に衝撃的な広告が出ていました。左側の一面には真珠湾を攻撃する日本の戦闘機の写真、右側には原爆の写真が掲載され、これらの写真の下には

「忘却は罪である

 人間は過ちを犯す。しかし学ぶことができる。世界平和は、人間の宿題である。」

という二行の文と、「宝島社」という出版社の名前だけが書かれていました。

 宝島社は、おまけのどっさりついたファッション誌から禅宗の思想書のようなものまで広い範囲でユニークな企画の本をたくさん出している出版社です。

 今朝の広告がいったい何を意図したものか、とても興味があります。この出版社は『日本の戦争を終わらせた人々』なんて本も出しているので、明日あたりこの続きの広告が出て、新しい本の宣伝なんてこともあるかも???それとも、宝島社は全社をあげて、この「忘却は罪である」をこれから出版の基調にしますという宣言でしょうか?そうだとすると、今の時期になかなか骨のある出版社ということになります。

 

 冒頭のお釈迦様のお言葉のように、仏教徒はいかなる理由があっても戦争という悲惨な暴力行為を肯定することはできません。殺しても殺させてもいけないからです。

 私たち日本人は、たった(!)70年前に、極めて高い代償を払って、戦争を放棄し、人類に平和の道を開くチャンスを得たのです。この大切な役割を忘れてはならないでしょう。

 宝島社の意図がどうであれ、今日の広告は私に大切なことを思い出させてくれました。

◎今日の写真はウズベキスタン国立博物館で見た壁画です。象と虎(豹かな?)が戦っているところのようです。

トイレが結んで下さったご縁

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 温かで穏やかな三が日でした。慈雲寺にお墓を持っていて下さる方々の多くは、年末にお墓をきれいにお掃除し、年が明けると、またすぐにお墓参りをなさいます。墓地にきれいな花が並んでいる姿はとても嬉しい風景です。

 本堂にあがって阿弥陀様に手を合わせて下さる方も去年より多い気がします。本堂に用意しているお茶を飲んで下さっているのも嬉しい。

 そんな時、新年のご挨拶にお声を掛けた方が、「本当に助かりました。」と何度も頭を下げられます。どうやら、急にお腹が痛くなって境内のトイレに駆け込まれたそうです。わざわざお礼をおっしゃるくらいですから、相当に切羽詰まっていらっしゃったのかしら?

 いずれにしても、お役にたてて、とっても嬉しい!ただ、境内のトイレは和式です。膝が痛い方などにはとても使いにくいものになっています。しかも、とても狭いので、和式便器の上にかぶせて簡易洋式トイレにするカバーを設置することもできません。

 本堂の雨漏りも気になりますが、私はこのトイレの改善もなんとかしたいものだと思っています。

 散歩に行こうとしても、「途中でトイレに行きたくなったら」と心配で外出もままならない人もいるとか。「慈雲寺へ行けばなんとかなる」と思ってもらえたら、これもお寺との大切なご縁ですよね。

 さて、トイレの改造貯金を今日から始めましょう。この問題が解決するまで、とりあえずは現状でも使いやすいように、きれいな掃除を心がけねば!

◎今日の写真は冬にカナダの西海岸にやってくるウインターグースです。けっこう鳴き声がウルサイ(笑)

初梅、初目白で幸せなお正月

お釈迦様のお言葉

「われらは何物も所有せず、安楽に生きていこう。

われらは光輝く神々のように 歓喜を食む者となろう」(法句経より)

 

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 玄関の扉を開けたら、入り口に置いた鉢の梅が咲いていました。植木の方の梅はまだ固いつぼみのままですが、もう目白がやってきて鳴いています。

 今日のお釈迦さまのお言葉は、禅宗のお坊様が良くおっしゃる「本来無一物」につながるものでしょう。貪りのない心には、本物の「おいしい」喜びが味わえるのですね。今日はすっかり梅と目白の喜びをいただきました。

 慈雲寺に赴任して3度目のお正月です。ここに住むようになって、本当にたくさんの嬉しいことがありますが、その一つは近くに温泉のあることです。いわいるスーパー銭湯ですが、地下からくみ上げた温泉。

 今夜は三日月が本当に美しかったので、露天風呂に入りながら月が眺めたくなって、この温泉に出かけました。一人用の壺湯に入って、すっかり「極楽、極楽」という気分でした。

 しかし、この「極楽」へ行くには、かなりの危険があります。慈雲寺からの道は、狭い旧道。それなのに交通量はかなりのもの。さらに!街灯が少ない。自転車で走っていたら、車にひっかけられる危険性はかなりのもの・・・

 せっかく温泉に入ってリラックスしても、帰り道のストレスで台無しになってしまうのです。自転車で夜のお出かけはやめた方がよさそうですね。

 

 う~ん・・・本当の極楽へ行く道はこんなに苦労しなくても良いのはありがたいことです。

◎今日の写真はウズベキスタン国立博物館で見た石像です。とんがり帽子がなんだか良く似合いますね。どことなく西洋風な顔立ち・・・どこの民族の人かしらん?