慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

白内障の手術入院にはラジオが必携だった!

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 5日ほど更新できませんでした。実は、白内障の手術を受けるため入院していました。ワープロの時代も入れると35年以上、これほど長い間、パソコンに触れなかったのは初めて!目の手術ですから、本も読めないし、今まで経験したことのない時間の流れ方でした。

 手術そのものは30分もかからないし、手際よくやって下さったのですが・・・手術を受けたのが大学病院だったので、最初の切開の段階はまだ一人前ではない人がやってくださったらしい。部分麻酔だったので、術者と指導者との会話が丸聞こえ・・・これが結構怖かった。術者は若い女性で「あら!」とか「ひゃ!」とか声を出す。指導者の方も「足が出てるじゃないか」(たぶん、目の中に入れるものの接続部分のこと)なんて術者を叱ったりして・・・・ひぇ~~~。おかげで、血圧は170を超えてしまいました。あのまま脳梗塞にならなくて幸いでした。

 しかし、入院していた5日間は大変に得難い経験でしたので、数回に分けて書いていきますね。

 今回の経験から、最大の失敗はラジオを持って行かなかったことです。私も対策は取っていたつもりで、有名な僧侶たちによるお説教のテープを10時間分ぐらい持っていきました。これを利用して、じっくりお説教を聞かせていただいて、勉強しようと思ったのです。

 しかし、10時間など、アッと言う間に聞いてしまいました。何度も繰り返せたのが良かったとも言えるのですが、正直・・・飽きた・・・

 世間のニュースが聞けない飢餓感も思った以上にひどかったし、院内に常時流れているクラシック音楽もだんだん神経に触るようになりました。ラジオを持って行けばよかった・・・・

 これから白内障の手術をなさる方、入院中は本も読めないし、テレビも見ることができませんから、ぜひぜひラジオを持っていかれることをお勧めします。

 それから、これは私が愚かだったのですが・・・・他の患者さんの迷惑とならないように、音漏れのしない大きなヘッドホーンを持って行ったのですが、これは大失敗。ヘッドホーンを付けているよ、頭を横向きにして寝ることができない!ちょっと想像すればわかることだったのに・・・性能の良い小さなイヤホンがおすすめです。

◎今日の写真は20世紀の初頭、近江八幡市で数多くの西洋館を造ったウィリアム・ヴォーリズの作品です。私はこんな風な、和が少し入った洋館が大好きです。ちなみに、ヴォーリズメンタームで有名な近江兄弟社の創設者です。

3月10日までブログ更新をお休みします。

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 少々事情があって、しばらくパソコンに近づけません・・・なんて書くと、何か深い事情のようですが、そんなことはありません。

 10日には更新を再開できると思いますので、またぜひお訪ね下さいませ。

☆お知らせ

3月の満月写経の会は12日です。満月の光を浴びて、ゆったりと写経をなさいませんか?7時から読経と『般若心経』の解説を少しいたしますが、何時から参加いただいても大丈夫です。どなたでもお気軽にご参加ください。

 また、3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月26日の10時より行います。今月はお寺をご縁とする「寺縁墓」についてお話しします。

☆お彼岸の法要と「当麻曼荼羅」の御開帳

 お彼岸の期間中、「当麻曼荼羅」の御開帳をいたします。この曼荼羅は『観無量寿経』の物語や極楽の様子を描いたものです。原本は奈良の當麻寺の御本尊です。慈雲寺には、その四分の一の大きさのレプリカがあります。本堂が開いている時間はいつでもお近くで拝んでいただけますので、どうぞご縁を結んでください。

 また、18日の10時からはお彼岸の法要をいたします。読経の後、曼荼羅の解説もいたします。どなたでも歓迎いたしますので、ぜひお参りください。

◎今日の写真は、先月、大府市の盆梅展で見て見事な白梅です。

「愛国」も「信仰」も声高に語る人は信用できないなぁ・・・

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 和歌山にお説教に行かせていただいている間は、テレビも見なかったし、新聞を読む余裕もありませんでした。本当はお説教師は、最新のニュースにしっかり注意を払い、参拝においでになる方が何に関心を持っているか配慮してお説教を組み立てるべきなのですが・・・今回は全く余裕無しでした。反省・・・

 と、いうわけで、ここ数日、たまっていた新聞を読み続けていました。一つの話題を一週間分一挙に追っていくと何だか胸にずしんと来ますね。

 特に気になったのは、もちろん豊中森友学園の問題です。テレビで、塚本幼稚園の子供たちが教育勅語を暗唱させられていたり、「安保法案成立、嬉しいです」のようなことを叫んでいるのを見て、子供が不憫でならなかったし、それこそ「親の顔が見たい」と思いました。

 私は自分が保守的な考え方をしているとは思いませんが、国を愛することは大切なことだと思っています。しかし、国を愛するなら、戦争に巻き込まれるようなことをすべきではないし、軍備より農業を大切にして食料の自給率をあげるべきでしょう。若い人々が安定した職業に就き、安心して子供が育てられる環境を整えるのが「国を守る」ことの基本だと思います。そして、安心して老後が過ごせることも忘れてはならないでしょう。

 声高に「愛国、愛国」と叫ぶ人ほど、結局はお金に目がくらんでいるだけではと疑問です。貧富の差が大きくなっているのに、「愛国」で忍耐を強いているようにも感じます。

 本当に国を愛する心は、原発などに汚染されない美しい自然を守り、誰もが穏やかに暮らしていけるところに、自然に生まれてくるものです。声高に愛国が叫ばれたとき、日本は戦争をし、国土は焼け野原になったことを忘れてはならないでしょう。

 信仰も同じだと私は思っています。何かがうまくいかないと「信仰が足りない!」などと脅かされるような宗教は本当の宗教ではないでしょう。

 「私はこの神様(仏様)に救われました!」と自慢げに語る人は、本当に「安心」を得ているのかなぁ・・・と疑問です。

 「安心」(あんじんと読みます)とは、法蔵菩薩がすべての衆生を平等に、残らず救うという誓いを立てて、それを成就して阿弥陀仏になられたといういわれを聴いて、「ああ・・・そうだったのか・・・」と、心から納得した状態をいいます。

 阿弥陀仏に願われている身の上だと知り、阿弥陀仏が何の条件もつけずに、私たちを救ってくださっていると領解(りょうげと読みます。心からうなずくこと)したとき、嬉しさのあまり口からこぼれ出るのが「南無阿弥陀仏」のお念仏です。

 ですから、自分の信仰の深さを自慢しても、何の意味もないのです。「阿弥陀様に願われている」ことを喜んで穏やかに暮らすことが大事なのですから・・・・

◎今日の写真は大府市の盆梅展でみた白梅です。

「起こしもの」で春が来た!

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 昨年に続き、「起こしもの」をお供えに来て下さった方がいます。

 ご近所のパン屋さんに「パン屋のおこしもの」と書かれた御餅のようなものが並べられていたときは、「何だろう?」と興味津々。

 ネットで検索してみたら、どうやら愛知県独自の桃の節句のお供えらしい。お米の粉を練って、花や松などの縁起物の型に入れ、それを「取り出す(おこす)」ところから「おこしもの」の名前になったとか。

 可愛らしい色が散らしてあるのも良い。ご近所のシニアの方が若い人たちに伝統を伝えているそうです。それをおすそ分けしてくださったというわけ。

 さっそく仏様にお供えしましたが、柔らかいうちに食べるのがお約束のようなので、すぐにおさがりをいただきました。

 なんだか、ご近所のメンバーに入れていただいた気がして嬉しいです。

 桃の節句が来れば、もう春ですね。

◎今日の写真は枚方市の片埜神社の梅です。

月初めは、月参りで始まる。

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 慈雲寺の先代様は毎日スクーターに乗って月参りに飛び回っていたそうです。私は電動自転車でゆっくりお参りさせていただいています。月参りはほぼ月の始めに集中しているので、新しい月の開始!という気持ちも新たになります。

 1日にうかがうSさんは、元気にガーデニングをなさっています。冬の間も花を絶やしません。毎月、庭の様子が変わるので、これも月参りの楽しみです。うかがうと、まずお庭のお話しを少ししてから勤行に入ります。

 張り切って月参りに行ったのですが、たった一軒お参りしただけで、今日の元気は使い果たしてしまったようです。和歌山の巡教(本山から派遣される説教師が寺院を回ること)の疲れが、まだまだ回復しないようです。

 でも、今日は「旅行読売」の原稿を催促されてしまったので、懸命に仕上げて送りました。毎月連載させていただいているので、大切なお仕事です。いつも、「編集の方に迷惑をかけないように、早めに原稿を書こう」と思いながら・・・長い原稿でもないのに、恥ずかしいです。

 原稿を送りだしたら、またグッタリ・・・でも、心のどこかが緊張していて、まだ眠れそうにありません。

◎今日の写真は先月、大府の盆梅展で見た見事な梅の盆栽です。

和歌山へお説教に行っていました。

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 毎日、各所のお寺を回ってお説教をする一週間でした。どのお寺でも、とても丁寧に迎えていただき、集まった檀信徒の皆様も熱心に耳を傾けてくださいました。

 居心地の良いホテルを用意して下さったのですが、すぐ目の前の海辺を散策する心の余裕がありませんでした。窓から夜明けの海を眺めただけ・・・

 お説教は午後と夜でしたから、午前中は散歩に行く時間は十分にあったのですが・・・

 これは、初めての場所でのお説教に緊張した、私の心の余裕の無さ・・・もっとしっかり原稿を練り、練習して、また練り直し・・・それが十分でないから、朝の散歩の余裕もなかったのですね。

 反省しきりです。

 秋にも、同じ地域の別のお寺を回らせていただけることになりましたから、次回こそ余裕が持てるよう、さらに準備しなければ!

 慈雲寺に戻って一息ついたら、やはりかなり疲れているようです。今日は早めに休むことにしましょう。

◎今日の写真は、今朝、ホテルから眺めた夜明けです。

引きこもりからの脱出の一歩はお寺へ行ってみませんか?

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 今日、ぼんやりとテレビを見ていたら、いわゆる「引きこもり」だった人たちが自分たちの気持ちを発信しようとする新聞作りの話題が出ていました。

 私も、自分の部屋から全く外に出たくない、誰とも会いたくない・・・と思う日が続いたこともあります。状況を変えたいと思っても、「一歩」前に進むのが難しい。

 会社や学校のように「行かなければならない所」へ行くための最初の一歩が何より難しいのではないでしょうか?

 決められたところへたどりつくのが大変なら、お寺や神社へ行ってみませんか?人があまりいない静かな社寺がいいですね。

 慈雲寺は、日中はいつでもお参りしていただけます。境内に腰掛けもおいています。本堂にはお茶もありますから、ゆっくり阿弥陀様と一緒の時間を過ごしてください。

 もし、何かしたくなったら、雑草や枯草を少し拾ってくださいませんか?門のところに掃除用具や御身袋などを用意しておくことにしましょうか?

 お釈迦様のお弟子の一人に、どんな説教を聞かせていただいて理解できない人がいたそうです。しかし、彼はお釈迦様に心から帰依し、悟りを得たいと真剣に願っていました。そんなとき、お釈迦様は彼に「では、お前は掃除をしなさい。箒ではくたびに、『心の塵をはらいましょう』と言いながら掃除をしなさい。」とおすすめになりました。弟子はお釈迦様の教えを護り、もくもくと箒でゴミを掃き続け、ついに心の迷いを掃き清め、悟りに達したそうです。

 慈雲寺は心の塵(そして現実のゴミや落ち葉も!)を掃き清めたい方は、いつでも大歓迎です!!

◎今日の写真は紀伊半島のみなべ町の海岸です。海の色は美しいトルコ石のようでした。