慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

「共謀罪」が施行された日に

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 今日は久しぶりに映画を見に行きました。今朝の新聞で「共謀罪」の施行の報道を読んで、心がとても重くなったからです。「テロリスト対策で、一般の人は無関係」と政府は説明していますが、「テロリスト」とレッテルを貼れば、思想信条の自由、信仰の自由が脅かされる可能性も否定できないでしょう。

 こんな日だからこそ、秀吉の暴虐を花の美しさで諫めたと言われる、池坊専好の物語「花戦さ」を見たかったのです。ストーリーの展開はややスローテンポな気がしましたが、ところどころに登場する池坊の生け花の美しさは大画面の映画ならでは!やはり映画は映画館で見たいものですね。

 仏様に花をお供えするのは僧侶の最も楽しい役目の一つです。貧乏な慈雲寺は、なかなか思うように花をお供えするのが難しいのですが・・・花屋さんで買うものだけではなく、庭でもっと花を育てなければと映画を見ながら思いました。

 今、慈雲寺の庭は夾竹桃がたくさん咲いています。明日は夾竹桃の白い花を仏様に差し上げましょう。

 お釈迦様は、「話し合いで物事を決めていく王のいる国を攻めてはいけない」とお説になりました。武力、暴力、圧力で物事が進んでいく国に暮らすことは不幸です。戦争は人殺し以外の何ものでもありません。仏教徒は決して加担してはならないのです。

 しかし、民主主義は選挙が基本です。今のように自民党の暴走をゆるしたのは、選挙民である私たちだということを忘れてはならないでしょう。

◎今日の写真は神戸市の住宅街で見た花です。南国の花のようですね。

8月の「満月写経の会」は8月8日です。どなたでもお気軽にご参加ください。

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 昨夜(7月9日)は満月でした。残念ながら空は雲の覆われていましたが・・・・慈雲寺では、毎月満月の夜、7時半から写経の会をしています。「般若心経」を御一緒に読誦した後、写経をしていただきます。

 いろいろなお寺で写経の会がありますが、慈雲寺の写経会はおそらく日本で一番ゆるゆるな雰囲気の写経会です。目的は、お月様の光をあびてゆったりした気持ちになること。自分の「今の気持ち」に素直に向き合うきっかけを作ることです。

 心経一巻を気持ちを集中させて一挙に写しても良いですし、数行で「今日はここまで」としても結構です。

 あとは冷たい麦茶を飲んで寛いだり、阿弥陀様のお慈悲に例えられる月光をあびて癒されるのもおすすめです。

 慈雲寺の写経は参加費は無料です。お寺の維持や仏様への御供養のために、御喜捨いただければありがたく存じます。

 また、慈雲寺の本堂には、いつでも写経をしていただける用意があります。手ぶらでいらっしゃっても大丈夫。ぜひお気軽にお越しください。

 来月の「満月写経の会」は8月8日夜7時半からです。

 どたたでも、お気軽にご参加ください。

◎今日の写真は、神戸の洋館で見たバイオリンです。どんな人が弾いたのでしょうね。

九州の水害被害に思う

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 九州で豪雨の被害にあわれ、今も危険な状況にいらっしゃる方のことを思い、昨日からニュースから目が離せません。慈雲寺の属する浄土宗西山派西山浄土宗)には、九州にもたくさんの所属寺院があります。特に福岡県や大分県のお寺には、私もお説教に行かせていただいたお寺もありますので、皆さんが無事でいらっしゃるのを祈らずにはいられません。

 真言宗の方たちなら、天変地異を治める修法もあるかもしれませんが、私たちの教えではそういうものはありません。残念です。慈雲寺には弘法大師さまもお祀りしていますので、今日はじっくりと弘法様にお願いをしようと思っています。

 今夜もまた強い雨が予測されているとか。救援物資や義援金など、今、すぐにできることを始めなければと思っています。

 今朝の新聞に災害対策本部の方の経験談が出ていたのですが、「被災地には何もない。食料を送るときも、箸などを必ず入れる」とあったのが印象に残りました。確かにそうですね。どんなことも(とりわけ、人をお助けしようとするときは)そういうしっかりとした気配りができるかどうかが、本当に救えるかどうかの大きな分かれ目になるのでしょう。自戒したいものです。

◎今日の写真は先日、神戸の北野地区で見たあじさいです。

慈雲寺には、いつも麦茶と塩飴をご用意しています!

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 先日、母と電話で話していたら、「外出から戻ったら、なんだか全身がだるくて、ボンヤリしてたのよ~」とノンビリした声で不調を言い出しました。え?!それ脱水症状じゃないか??と、私は大慌て。すぐにポカリスエットなどで水分補給をするようにと叫んでしまいました。

 日射病や脱水症状は、思っている以上に身近にある危険だと聞いています。水分不足が認知症を加速するという説もあるらしい。ともかく、水分は十分に補給するように注意したいものです。

 慈雲寺では、本堂の入り口のところに、いつでもお茶を用意しています。今は麦茶です。お菓子もありますが、夏になると塩分を補給できる「塩飴」などを中心においてあります。どうか、どうかご参拝の途中に本堂に上がり、一服なさってください。

 本堂は真夏でも、涼しい風が吹き抜けます。座布団を使って、ちょっと昼寝をしてくださっても大丈夫ですよ!

 慈雲寺は散歩の途中で気軽に立ち寄っていただけるお寺を目指しています。本堂の扉が開いているときは、どうぞご遠慮なく、阿弥陀様や弘法大師さまのお近くでお参りください。

 手ぶらでいらしていただいても写経のできる用意もしてあります。

◎今日の写真は、神戸で見た洋館の窓です。

人間に生まれることができて、本当に嬉しい!ありがたい・・・

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 今日、7月3日は、私の誕生日です。まあ、この年になれば「めでたい」というほどのことはありませんが・・・・しかし、人間に生まれることができたのは、本当にありがたいことです。

 仏教では、仏の教えを聴くことができるのは、人間と天人だけだと考えられています。私たちははるか昔から六道を輪廻し続けていたわけですが、とうとう人間として生まれるチャンスを得たのです。これは、大海の底に住む盲目の亀が100年に一度、海上に顔を出した時、浮いていた木片の穴に偶然首を挟まれてしまうほどの稀有の確率!

 天界に生まれると様々な意味で楽しい暮らしができますが、あまりに楽しいので、仏の教えをちゃんと聴く気持ちになりにくい。仏道を歩もうという気持ちがなかなか起きないのだそうです。しかし、天人にもやがて衰えがやってきて、やがて死がやってきます。

 ですから、生老病死の現実に直面することによって、仏の教えに出会える人間に生まれたことは、天人以上の「チャンス」なのです。

 阿弥陀さまは、一切の条件や要求をつけずに、私たちを救ってくださっています。私たちは、阿弥陀仏の願いを聴かせてもらうだけで良いのです。「あーそうか・・・私は阿弥陀様に願われている身の上なのだ。」と思い、喜びのあまり口からこぼれ出てくるのがお念仏です。

 私を生み、育てて下さった両親、そしてたくさんの愛情を注いでくださった数多くの方々に感謝して、今日一日を過ごしました。あ、法人市民税の納入を忘れていて、督促状が来てしまったので、大慌てで支払いに行ったのも、今日のイベントの一つでした。これは我ながら、恥ずかしい・・・・おかげで、忘れられない誕生日になってしまいました。

◎今日の写真は新神戸の駅の裏手にある、布引の滝です。駅から10分ぐらいで全くの別世界でした。

「痔病治癒」の神様の取材へ

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 楠木はいいなぁ!何十年もカナダで針葉樹ばかり見てきたので、照葉樹林の美しさはいまだに新鮮な驚き。楠木のように樹高が数十メートル以上もあって、空を覆わんばかりに枝を広げている木を見ると、思わず見とれてボーっとしてしまいます。先日、神戸に行ったとき、魂を吸い取られてしまいそうなくらい美しい楠木に出会いました。その木は、何と!お尻の病を治してくださる神様の化身だったのです。

 前にもお話ししましたが、去年から、毎月『旅行読売』という雑誌で連載ページを担当させていただいています。短い記事ですが、これが楽しくて、楽しくて!

 連載のテーマは「関西のご利益のある社寺」。知る人ぞ知る・・・ぐらいの知名度のところを探しています。取材先は、基本、自分の企画なので、これも楽しい。

 私は旅行ライターになったのはカナダに住むようになってからなので、北米のことはあちこち取材に行っていますが、日本のことはほぼ何も知らない。ですから、毎月の取材では驚きの連続です。

 今回は神戸市にある長田神社へ取材に行きました。大変古い形の追儺式(節分の行事)を残している神社として興味があったのですが、取材をしてみると、実は本殿の裏にある小さなお稲荷さんが、かなり「知る人ぞ知る」神様でした。なんと、病気治癒、中でも痔疾に御利益あり!なのだそうです。

 日本人の成人の三分の一が痔主という話も聞いています。ギッシリ並んだ絵馬が、なんとも言えない哀愁・・・この神様は、絵馬に名前を書かなくても、ちゃんと願い事を聞き届けてくれる優れた方。年齢と干支、性別さえ書けば良いそうです。

 お稲荷さんですから、神殿に祀られているのは「倉稲魂神」ですが、病気を治してくださるのは、神社の裏手にそびえる巨大な楠木です。樹齢は800年ぐらいとか・・・いやぁ・・・周囲6mを超える、なんとも頼もしい感じの木。枝を勝手に広げている感じがなんともいいなぁ。

 口に出しにくい病気で悩んでいる人には、見上げるだけできっと大きな慰めになることでしょう。

◎今日の写真は、長田神社の境内にある夫婦楠木です。境内には、他にも何本も楠木の巨木が空を覆っていました。

 

信教の自由と「共謀罪」

 

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 先日の教学講習会で、ある講師の方が、「今、政府が無理やり推し進めようとしている憲法改正の動きに無関心であってはならない。」と講義の中で指摘なさいました。

 慈雲寺が属する浄土宗西山派は小さな宗派ですし、今まで表立って政治的な意思表明をすることはほとんどありませんでしたから、今回のように、はっきりと「現在ただいまの問題と仏教」について言及する講師がいたことに、いささか驚きました。しかし、その講師だけではなく、今回の講習会では他にも多くの講師が「現実に即した仏教」について述べ、政治や社会の問題にも目をそらさないようにと強調しました。講師は多方面から集められていたので、事前に打ち合わせがあったわけではないと思いますが、共通した危機感があったように感じました。

 憲法改正の動きは、第9条の問題に話題が集中しがちですが、実は20条の信教の自由と政教分離の原則にも影響を及ぼそうとしているのです。とりわけ、「日本会議」の動きが不気味です。「日本会議」は神道系の保守派のように見えるけれど、統一教会の影響を指摘する人も多く、宗教者としては無関心ではいられないでしょう。

 「共謀罪」が成立した今、戦前・戦中の時代のような宗教弾圧と結びつく可能性は見逃せません。「一般の人は無関係」と政府は説明しますが、時の権力にとって都合が悪いと見なされれば、「狂信的なカルト」とか「テロリスト」というレッテルを張りさえすればよいのです。

 法然源空上人(法然上人)がお念仏の教えを広められ始めたときにも、「危険な集団」というレッテルを張られて何度も弾圧が行われました。

 今の自民党一強の状況では、「共謀罪」も「憲法改正」も急速に進んでしまうでしょう。原発の再稼働も同じです。その「一強」状態を作ったのは、私たち選挙民です。民主主義は選挙が基本。地方の選挙から一つ一つ地道に変えていく必要があると思います。しかし、「僧侶としての私」の取るべき行動規範は、まだまだ考えるべきことが多いのが現状です。

◎今日の写真は近江八幡の街並みです。