慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

9月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は9月24日日曜10時より行います。テーマは「彼岸へ至る道の歩み方」です。どなたでもお気軽にご参加ください。

阪神・淡路大震災の犠牲者を悼む

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 今朝の勤行のとき、阪神・淡路大震災で亡くなられた方々の菩提をご供養させていただきました。

 20年前のこの日、カナダのバンクーバーから一時帰国していて東京の実家にいました。当時私はカナダの森林産業に関連した通訳をやっていましたので、すぐにカナダから連絡がきました。彼らの関心はカナダのツーバイフォーの家屋が震災でどうなったかということでした。おそらく、カナダで報道された写真に、周辺の伝統家屋が倒壊してしまうなかで、ツーバイフォーで建てられた家が残っているのが写っていたのでしょう。カナダの木材や建築業者は、ツーバイフォーの耐震機能が証明されたと考えたのだと思います。「これが商機につながるかもしれない。できるだけたくさんの写真を入手して戻って来い」と言われました。私は彼らの無神経さに腹が立ち、「そんなことして、一儲けしようなんて思ったら、二度と日本人はカナダの材木を買わないぞ!」と怒鳴ってしまいました。

 もちろん、そのカナダ人はけして闇雲に商機をつかもうとしたわけではなく、心から被災者を心配し、自分が送り出した材木で建てた家が地震に耐えたことで助かった人もいるだろうと思っただけなのですが・・・私は新聞や週刊誌、緊急出版された報道写真集などを抱えてカナダに戻りました。もう日本からカナダへ木材の追加注文に来た人々がいたからです。

 それからしばらく続いたあわただしい日々のせいで、私は被災者の方々に思いを寄せることも忘れがちでした。しかし、バンクーバー日系人の人々が真摯に被災者を思い、義捐金を募る姿を見て、商機にこだわっていたのは私だったと胸を撞かれる思いでした。

 あれから20年、神戸の街角は何事も無かったかのようににぎやかです。でも、家族や友人、知人を失ったり、あの地震をきっかけに人生の方向が大きく変わったりした人々の心の痛みはまだ続いていることでしょう。宗教者として自分にも何かできないかと、改めて考えています。

・今日の写真は京都の龍谷博物館で出会った菩薩さまの石造です。