慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

名古屋大空襲から70年

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 東日本大震災から4年目の11日、実家の母と電話で話していました。母は「語り継がなくてはいけないことは、哀しいけれど他にもたくさんあるわね。昨日は東京大空襲のことを思い出していたの。あのときの匂いや何とも言えないうめき声みたいな音とか・・・やっぱり戦争はだめよ。」

 母は旧制高等女学校の学生のときに3月10日の東京大空襲を経験しています。社会的な出来事への知的好奇心は旺盛な人ですが、特に反戦について言及することは今まであまりありませんでした。その母が空襲のことを強く思い返したというのは、集団自衛権憲法の改正など、「戦争のできる国」への流れを母も感じ始めたのでしょう。

 そして今朝の新聞で今日、3月12日は名古屋空襲から70年の日であることを知りました。この桶狭間は私の人生最後の住処になるでしょう。地元の歴史を学ぶことはとても大切なことだと思います。今日はゆっくり新聞を読んで、この空襲のことを知り、母と話したときと同じような深い悲しみを感じました。

 慈雲寺は幸い被害を受けませんでしたが、名古屋市内にはこの空襲で失われた寺院もたくさんあると聞きました。市内に木造の寺院が少ないのはそのせいもあるのでしょう。

 原爆の被害についてはしばしば語られますが、日本各地への空襲は軍事施設以外にも甚大な被害をもたらし、まさに「虐殺」であったことはあまり語られていないように思います。語り継ぐことは、新たな戦争への道を止める大切な力になります。

 仏教徒は人を殺すことも殺させることも許されていません。いかなる理由があろうともです。とりわけ「愛国」という言葉を「理由」に使うのは許されるべきではありません。愛国とは、まず国民を戦争に巻き込まないことだと思うからです。

・今日の写真はニューデリーで出会った釈迦の涅槃像です。