今上陛下がパラオへ行幸なさると新聞で読み、戦死者のご遺骨のことを考えた一日でした。先日、戦艦武蔵が海底で発見されたときも、引き上げるか否かの議論に「静かに眠っている方々を引き上げによって乱さなくても・・・」という意見も聞かれました。ご遺族の方々はどう思っていらっしゃるのでしょうか?
以前の私は、正直言って「遺骨」をそれほど重要に考えてはいませんでした。亡くなった方を偲ぶために「遺骨」が必要だとは思えず、それほどまでに遺骨の収集にこだわる気持ちを理解するのは難しいと考えていました。
しかし、東日本大震災で大きな被害を受けた寺院の墓地で、小さな骨のかけらをもくもくと集める方々に出会い、思いの深さに強く胸を打たれました。慈雲寺に着任し、何度か納骨供養を勤めさせていただきならが、ご遺族のご遺骨への思いに触れることで、私の考えも大きく変わってきました。
今、日本はまた「戦争のできる国」に向かいかけています。ジャングルや海底に残されたご遺骨は戦争の残虐さ、悲惨さを語り続けていることでしょう。今上陛下の行幸をきっかけに、戦争が美化されることなく、平和への祈りが強まることを願わずにはいられません。
・今日の写真は、ヘルシンキの郊外でみたフンワリとした雲です。