慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

安保法案は「戦争できる国」への扉

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 今日(7月12日)の中日新聞に、憲法学者120人に「安保法案は違憲か、合憲か」を問うたアンケート結果が出ていました。ほとんどの学者は、今回安倍政権がゴリ押ししようとしている法案は憲法違反との意見でした。

 私は大学に入ったとき、法学部法律学科を選びました。選んだときにはそれほど強い目的意識があったわけではありませんが、最初に「法学概論」を教えてくださった若い教授の熱心な憲法論を聞いて、法律の面白さや憲法の大切さを知り、法学部を選んで良かったと思いました。その後、実務的な法律より、法哲学や法制史に興味が移り、それが宗教学への興味へと変化していったのですが、大学で最初に学んだ日本国憲法の素晴らしさは今も強く心に残っています。

 実際に第二次大戦を経験した人は年々少なくなってきています。私の父も将校としてインドネシアへ行き、戦後も長く抑留されていました。父はその時の体験をほとんど語りませんが、彼が重いものを引きずっていることは常に感じていました。

 日本人が多くの犠牲を払い、その影響は直接の体験者だけでなく、私のような「体験者の子供世代」にも大きな影響を与えている戦争。そこから血の出るような思いで「戦争をしない国」を選んだということをけして忘れるべきではないでしょう。

 日本国憲法、とりわけ憲法第九条は世界に誇るべき宝です。

 仏教徒は殺生を禁じられています。もちろん、私たちが生きていくために多くの命をいただかなくてはならないのは現実です。しかし、経典の中では仏法を聞くことができる「人間、天人、龍」を殺すことを厳しく禁じています。

 「後方支援」への参加も「人殺し」への協力にほかなりません。ここで派兵を止めることができなければ、私たちは未来の世代に膨大な負担を強いることになるでしょう。

 仏教徒はいかなる理由があろうと、人を殺すことも殺させることもすべきではありません。

・今日の写真はグルジアで見たブドウ畑です。