慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

日本の立憲主義が死んだ日(Part2)

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安保法案が「合憲」の根拠のとぼしいまま、参院を通過してしまいました。

 昨日はお葬式に役僧として出たのですが、ここ数日の睡眠不足のせいか集中力がなく、お導師をしてくださった僧侶にご迷惑をおかけしました。初七日のお勤めは私一人でしたので、火葬場からご家族が戻られるまでの数時間、しっかり心を落ち着けることにつとめ、なんとか心をこめてお見送りすることができました。

 たとえなにがあっても平常心でお勤めできるよう、もっともっと練習しなければと、お導師さまにご指導いただきました。

 しかし、今朝の新聞を読んで、また心は台風のように動揺してしまいます。安倍首相が砂川事件の判決を安保法案の「合憲」の根拠に挙げていることが非常に気にかかります。砂川事件は法学部の学生なら誰でも学び、活発な討論の対象となる事件です。最高裁が政治的な圧力に屈して違憲、合憲の判断をにぶらせてはならないと、憲法を教えてくれた教授は繰り返し語っていたことが鮮やかに思いだされました。もう40年も前のことなのに!

 今回の流れの中で最も腹立たしいのは、まだ国会で何も決まっていないうちから、安倍首相がアメリカで「この夏までには安保法案を成立させる。」と明言したことです。これはまるで日本がアメリカの属国であるかのごとき情けない発言です。憲法も議会も無視してアメリカに尻尾を振って恭順を表したことに他ならないでしょう。「愛国」とか「国を守る」ことを強調する人が、この態度はあまりにも情けない。

 私は40年ちかくカナダで暮らしてきました。アメリカの隣国であり、経済的には日本以上にアメリカに依存している国であるにも関わらず、カナダの歴代首相は安倍首相のような“尻尾振り”はしていません。たとえば、ベトナム戦争の時に、徴兵を逃れて国境を越え、カナダに逃げ込んだ青年たちを米国はすぐに引き渡すように強くカナダに申込みました。しかしカナダは引き渡しを拒否。カナダ国籍を与えてまで米国の圧力を跳ね返しました。

 う~~ん・・・・黒船来襲以来、アメリカと係って良いことなんか一つもなかったと思うんですけどね。安保条約によってアメリカに守られて来たっていう人もいますが、善意で守ってくれたわけではなし、沖縄県民の苦しみやアメリカ軍基地の経費をはじめ膨大な見返りを払ってきたわけだし。日本の平和を護って来たのは、まず第一に戦争をしないと宣言した日本国憲法でしょう。

●今日の写真は北極海に浮かぶ島の夏景色です。こんな風に荒涼とした日本にならないことを願っています。