慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

絵解き説教を聴かせていただきに西尾市へ

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絵解き説教とは、當麻曼荼羅二河白道図、地獄絵図、涅槃図などの絵解きをしながら仏教の教えをやさしく伝えようとする伝統的な布教手段です。特に慈雲寺の属する西山浄土宗は當麻曼荼羅の絵解きを布教の中心に置いてきました。しかし、近年、その絵解き説教の伝統はそれを受け継ぐ説教師の減少とともに、絶滅寸前まできています。私も説教師・布教師の末席にいるものとして、何とか絵解き説教を学びたいと思っていました。

 そんな時、新聞に絵解き説教を行うとという告知が出ていたので、西尾市まで行ってきました。慈雲寺に赴任するまで中部地方にほとんど縁がなかった私。西尾市のことも全く知りませんでしたが、ネットで見てみると江戸時代の雰囲気が残る”小京都”だそうです。お説教の時間より少し前に西尾駅に着き、観光案内所で自転車を借りて少し散策してみました。慈雲寺に近い有松も江戸時代の町並みが残っていますが、西尾市も六万石の城下町の雰囲気があちこちに残っていました。市内には温泉もあるようですから、今度は一泊でゆっくり散策してみたくなりました。

 さて、お説教が行われた養寿寺はご住職が浄土宗西山深草派の布教師。若手の布教師を励まして勉強会や発表の場を作る努力をしていらっしゃいます。このお寺には江戸時代の素晴らしい當麻曼荼羅や涅槃図、法然上人絵伝などが残されています。それらの虫干しをかねてのお説教の会でした。

 お説教をして下さった若手の三人の説教師は、それぞれ宗派は違うのですが、一緒に切磋琢磨しているとのことでした。絵解きという伝統的な形に沿いながらも、自分らしさを出そうと一生懸命な様子が伝わってきて、私も大いに刺激を受けました。

 今朝、そのお説教のノートを整理していたとき目にとまったのが『本願寺白熱教室』という本の広告でした。中身のことはわかりませんが、”お坊さんは社会で何をするのか。今最も斬新な「宗教と公共性」入門書”という宣伝コピーが強く印象に残りました。

 お説教の中に無暗に政治を持ち込むべきではないでしょうが、今、人々の生活、心の安らぎを脅かすものに敏感でないのも問題だと思います。社会の「今」をどう説教に反映させていくかも、布教師として考えなくてはいけないと思いました。

●今日の写真は西尾市の小路。江戸時代の雰囲気がそのまま残っていました。西尾の街はちょうど祇園祭の最中。街のあちこちでお祭りのイベントが行われていました。あるお寺では原爆の被災者の写真展が行われていました。これも「宗教と公共性」の一つのありかたでしょう。