慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

「墓仕舞い」の手順について(PART2)

◎今日のお釈迦さまのお言葉

みずからを清め

お互いに人たちとともに住め。

聡明な人たちは

仲良く住み

苦しみをなくす。

 

今枝由郎訳 『スッタニパータ』より

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 前回に続いて「墓仕舞い」を考えていらっしゃる方々に、もう一度、一般的な手順のお話しをしてみましょう。

 先日お電話をくださった方が「そちらに墓地を“買った”ものですが」と自己紹介をなさいました。「墓地を買う」という言い方はごく普通の表現だと思いますが、厳密に言うと、PART1でもご説明したように、お墓が建っている土地を買ったわけではありません。墓地の所有権はそのお寺のままです。墓地を”買った”方は、実は墓地の「使用権」を確保する契約をお寺と交わしたのです。ただし、その使用権は管理費を納入し続けることが条件です。

 管理費を滞納した場合には使用権は停止されます。もちろん、一回納入し忘れたぐらいで使用権がすぐに停止するわけではありませんが、長年にわたって管理費が納入されていないと、使用権が停止される場合もありえます。

 使用権を“買った”方は、それを放棄、もしくは停止したいというご希望の場合は、墓石を撤去し、納められているお骨を敬意をもって始末し、さら地にしてお寺に返却する義務があります。もし墓石を作らずに、そのままさら地のまま保持していた場合は、そのまま返却してください。

 ポイントをまとめてみましょう。

1)墓地の契約を結んだときに、この契約が「使用権」のものであることや管理費を納入する義務があることは、契約書の中に明記されています。お寺によっては、別の契約事項もありえますので、ぜひ契約書を再読してください。

 

2)使用年月の長短にかかわらず、使用権を放棄する(墓仕舞い)をするときは、契約開始した時にお寺に納めたお金が返却されることは通常ありません。

 

3)使用権の契約をした名義人が変わったり、住所が変わったりした場合には、お寺に文章で通知してください。

 連絡がつかなくなって、管理費が納入されていないと、使用権が停止されてしまう可能性があります。

 

4)墓仕舞いを考えている方は、その希望を文章にしてお寺に提出してください。

 

5)慈雲寺では、墓仕舞いを希望するかたには、未納分の管理費を納めていただき、墓地をさら地にして返却していただく以上の条件はありません。

 しかし、お寺によっては相応のお布施を納める習慣のあるところもあると聞いていますので、お寺とご相談なさると良いでしょう。

 

 お墓のことは、ぜひお寺の僧侶と率直にお話しをなさってください。お墓についての思いをゆっくりと僧侶をお話しをすると、気持ちの整理がつきやすくなり、最善の選択をすることができるでしょう。

 慈雲寺にお墓をお持ちでない方でも、お気軽にお話しにいらしてください。

●今日の写真はアメリカのアパラチア山脈周辺の風景です。