慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

LEDのお線香はアリですか?

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 いつもは月始めに届く私の愛読書『月刊住職』が、今月はなかなか来なくて心配していました。昨日の夕方になってようやく到着!今日は月参りの合間に夢中で読みました。今月もなかなか考えさせられる話題満載です。

 最初に気になったのは「お線香」に関する記事でした。お線香の需要が減っていることや売れ筋の香りが変わっていることなどが取り上げれていました。その中で、超高輝度LEDを使った電池式のお線香が紹介されていました。

 写真を見ると、小さな香炉の上に線香に似せた細い棒が二本立っています。その棒の一番上にLEDが仕込まれていて、お線香を焚いた時のように輝くというのです。キャッチフレーズは「安心のお線香ミニ 電子の光で、倒れても安心」。確かに、灯明やお線香が原因で火事になることはまれにあります。供養したいという気持ちと安全とのはざまで困っている方も多いのでしょう。

 しかし、お香は、その香煙によって参拝者の心と体や周辺の環境を清め、香りを仏様やご先祖に捧げる大切なものです。形を整えれば良いというものではないでしょう。仏花も同じです。生きている花を供え、それがやがて枯れていくからこそ、命について考えるきっかけとなるのです。けして枯れない造花を飾っても意味があるとは思えません。

 もちろん現実問題として「火」を扱うのは危険という状況はあり得るでしょう。灯明については慈雲寺でも私が本堂にいないときには、小さな電球の入った蝋燭状のものを点灯しています。私の理想は、私がいつも本堂にいて、蝋燭ではなく油皿を使う本当の灯明をしてみたいのですが・・・・。あ、話が横道にそれました。お線香はお仏壇の前にいる間だけ灯せるように短くして使うとうのはどうでしょう。このごろは短いお線香も売られています。また、香炉に立てるのではなく、折って灰の上に横に置くこともおすすめです。

 それでも火をつけるのがあぶないということでしたら、塗香(ずこう)というのもあります。これは僧侶が身を清めるために本堂に入るときなどに手首などに塗る粉状のお香です。お線香の専門店へいけば売っています。仏壇にお参りするときに、これを少し使って身を清め、香りを仏さまにも供養して差し上げてください。

 以前にも書きましたが、お線香は自分の気に入ったものを使うのがベストです。少しずつ色々試してみましょう。お線香は一般に値段の高いものほど香りが豊かで深い。残り香が長く薫るので、少し贅沢してみるのがおすすめです。

●今日の写真はアメリカのマイアミ海岸の夜景です。ここにはアールデコ時代のデザインの建物がたくさん残っています。