慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

『二河白道図』がおもしろい!Part2(お説教の勉強会で実演しました。Part3)

10月26日、11月1日の記事の続きです。

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 『二河白道の図』には、さまざまなバージョンがあります。基本的な構図は前回お話しした通りですが、どれも少しずつ違うのが面白いのです。例えば、今回の勉強会で使わせていただいた掛け軸の絵では、二つの河の中は燃え盛る炎と激しく渦巻く波しか描かれていませんでしたが、河の中に落ちてもがいている人が描かれているものもあります。中には僧侶と思われる坊主頭の男性が波に翻弄されていたりするものまで!

 西の岸辺に立って、白い道をたどってくる念仏者を迎えてくださるのは阿弥陀様です。しかし、阿弥陀様がお立ちになっているお姿が絵によって大分違うのです。西側(極楽の国土)の中に立っておられたり、座って説法をなさっていたりと色々です。今回、私が絵解きさせていただいた絵の中では、阿弥陀様は雲にのって、西の岸辺から少し二河の上空に出てきていらっしゃるように見えました。しかも、阿弥陀様の手(?)からは一筋の光が放たれていて、白い細い道を歩む人をその光が包んでいるのです。

 私は『二河白道の図』が大好きで、色々なバージョンを拝見していますが、念仏者を光で包んでいる図はあまりないのではないでしょうか?今回使わせていただいた図は、お説教を始める直前に初めて見たばかりでしたので(直前の御住職さまが「これを使ってはどうか?」と勧めてくださったので)、この光バージョンにはちょっとビックリ。でも、これは私たちの救われ(往生)は、私たちの側ではなく、阿弥陀様が「すべての人を救う」と誓いを立てられて、私たちに代わって必要な修行と懺悔をすべてしてくださっていることを表しているのではないでしょうか?

 私たちの往生は「阿弥陀様の一人働き」。私たちはお釈迦さまが教えてくださる、阿弥陀様の願いをただ「ああ、そうだったのか!」とストンと胸に収めればよいのです。あとは、疑いの心が起きようが、信仰がふらつくことがあっても、精進したくないときがあっても、私たちは阿弥陀様の光の中で白い道を歩んでいるのです。

 もちろん、「悪いことをしない。良いことを進んでする。他の人のためになることをできる限りさせてもらう」という仏教徒として基本を忘れてはいけませんが・・・

◎今日の写真はコロンビアの博物館で見た2000年前のゆるキャラ(?)ワニです。