慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

知的好奇心旺盛なシニアはコミュニティの宝だ!

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 名古屋市には60歳以上の方々を対象とした「高年大学 鯱城学園」という学校があります。カルチャーセンターの域にとどまらず、地域の歴史から園芸などの基礎知識を学び、コミュニティに学習したことを還元していく道筋が作られているユニークな教育施設のようです。

 今日、そこの美術専科の重要文化財研究クラブの方々の学習会に呼んでいただきました。きっかけは、慈雲寺で毎月開いている「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」を聴きに来てくださった方がお声をかけてくださったのです。この学習会のメンバーは、名古屋周辺の寺院などの文化財の見学などを通して、コミュニティの文化を守る学習をされているそうです。

 私は慈雲寺を例にあげながら、三河尾張地方になぜ尼僧寺院が多いのか、尼僧寺院の暮らしやこれからの尼僧寺院のあり方などについてお話しさせていただきました。

 尼僧寺院は全国にありますが、特に三河尾張地方には長い伝統があります。裕福な商家などでは娘の中で特に利発な子を選んで出家させることが、一族の「格」を示すという伝統があったのです。これは、ヨーロッパの修道院などでも貴族の女性が修道女になるという伝統があったことが知られています。

そうした裕福な家から来た尼僧さんは、お嫁に行くのと同じような持参金を持ってお寺に入ったそうです。こうした尼僧は教養も深く、お茶やお花などを教えて自立した生活を送った例がしばしばあります。

 しかし、その一方で、何等かの事情で親元で育てられない子供を尼僧寺院で引き取るということもあって、重い苦難の道を歩んだ尼僧も少なくありません。

 この尼僧の伝統については、もう少しじっくりと研究してみたいと思っています。

 私は名古屋に来てまだ二年ですし、この地域の宗教的伝統についてはほとんど何も知らない状況ですので、人前でお話しできる段階ではなかったのですが、鯱城学園の学生のみなさんは、皆熱心に聞いてくださいました。

 知的好奇心を維持することは、心身の活性化の大きな力になると思います。このパワーと、長年培った智慧をコミュニティに還元することは、これからますます重要になってくるでしょう。知的好奇心が旺盛なシニアはコミュニティの宝だと思います。慈雲寺がそうした方々の「寄合の場」になれば良いのになぁ・・・と思いながら学園を後にしました。

◎今日の写真はカナダのケベック州で撮影した砂糖楓(シュガーメープル)の落ち葉です。この砂糖楓の樹液からおいしいメープルシロップが生まれるのです。