慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

『生き方のツケがボケに出る』を読んで

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 今日は英語教室をしたあと、喘息の薬をいただきにお医者さまに出かけたほかは、のんびりとした一日でした。松の葉がだいぶ散っているのですが、明朝まで見ないふり・・・

 午後は金子満雄をいう脳外科医の方がお書きになった『生き方のツケがボケに出る』という本を読みました。なかなかキャッチーな題名ですね。自分のことを考えて、ドキッとしてしまった???かも・・・

 この方の幸せな人間の状態の描写が、とても興味深いものでした。金子先生は「今日の生活を自分で計画し、美しいものに感動し、生きていく喜びを感じることができる」ことを基本と考えているようです。脳の機能の衰えとは、自分が何をしたら良いかという自発性・計画性が低下し、美しいものへの感動も萎えてしまうことだと、指摘されています。

 私が特に注目したのは、金子先生が「感動」や「愛する」ということを脳の大切な機能ととらえていることです。また、「淋しい人」はボケやすいという指摘も、なるほどと思わせました。自宅で家族に囲まれていても、その家族がバラバラなら、荒野に一人でいるのと変わらない。むしろ、ホームなどで集団生活をしている方が良い場合もありそうだ。

 もし、「何も役にたてない」とか、「何もすることがない」と感じるときがあったら、ぜひ慈雲寺にいらしてください。助けていただきたいことは山ほどあります!ゆっくりご自分のペースで、得意なことをして下されば良いのです。あなたの行動は「身施」といって立派な布施。布施行という修行のひとつなのです。あ、今なら松の落ち葉を掃いてくださるかたは大歓迎です。

 どんな状況でも、人の役に立つことはできるし、「何か人のためにできることをさせてもらおう」という気持ちが脳を活性化するのです。

 もし、体が動かないというのなら、写経はいかがですか?手も動かないなら、世界の平和、コミュニティの安寧、家族の幸せを祈るのも十分な布施行です。

 ニッコリ笑い、優しい言葉を人に掛けるのも、「和顔愛語」という立派な布施。これなら寝たきりになっても布施行は続けられるのです。

 慈雲寺が属する西山浄土宗の流祖、善慧房證空上人は、阿弥陀様のお慈悲に包まれていることを知り、喜びのあまり口からこぼれ出るのがお念仏だと教えてくださっています。西山の念仏は喜びのお念仏なのです。

 慈雲寺に祀られている阿弥陀様はとてもお優しいお顔。ゆったりと拝んでいると、心に柔らかで温かいものが満ちてきます。こうした宗教的感動も、ボケにならない大切な要素ではないでしょうか?

◎今日の写真は、カナダの大西洋岸にあるハリファックスという町で見た、手作りの石鹸です。とても良い香り。お肌もツルツルになりそうです。