昨年、在家の仏教徒のための月刊誌『大法輪』のバックナンバーをたくさんご寄附いただきました。この雑誌は仏教の教えや慣習など、在家の方々が信仰の暮らしを送るうえで、とても良い話題が毎号特集されています。
食事の後などに、ゆったりお茶をいただきながら、この雑誌を読むのが最近の私の楽しみです。毎月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」のテーマに気付かせてもらったことも、しばしばあります。
さて、今夜は佐伯快勝上人のエッセイの中で、上人が五戒をとても良い現代語に書き直して紹介しているのを読ませていただきました。
「五戒」とは、仏教徒が守るべき基本的な戒律です。
不殺生・不偸盗・不妄語・不邪淫・不飲酒
漢字で読むと、なんとなく意味はわかりますが、現代語に訳して、もう少し意味をわかりやすくしたいものですね。
佐伯上人の現代語訳です。
「自他の生命を大切にする」=不殺生
「自分にあるものを、それが不足している人へ喜んで与える」
=不偸盗
「本当のこと、相手を力づけるような物言いをする」
=不妄語
「お互いに異性を大事にする」=不邪淫
「心を安らかに、精神を落ち着いた状態に保つ」
=不飲酒
不偸盗は直訳すると「盗むな」ということですから、それを「自分にあるものを、それが不足している人へ喜んで与える」と訳したのは、五戒を仏教徒の積極的な行動指針ととらえたからでしょう。
また不飲酒は直訳は「酒を飲むな」ということですが、それを「心安らかに、精神を落ち着いた状態に保つ」ととらえ直すのは佐伯上人独自のアプローチですね。
「戒」の問題は、ここ数年、私が興味を持っているテーマです。佐伯上人は新たな視点を教えてくださいました。
◎今日の写真はカナディアン・ロッキーのアサバスカ氷河です。今頃は深い雪に覆われていることでしょう。