慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

不飲酒戒について

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 今夜は僧侶たちが集まり、かなり遅めの「新年会」がありました。中華料理をいただきながら、お酒も飲み放題のセットになっていたのです。

 もちろん、僧侶は五戒を保つことが生活の基本。お酒を飲むことを戒めた、「不飲酒戒(ふおんじゅかい)」も五戒の一つですから、文字通りに解釈すれば、お坊さんがお酒を飲むことは慎まなくてななりません。幸い今夜は、酔って羽目を外す人はおらず、お酒も和やかさを広げるものという感じでした。

 不飲酒戒については、昔からさまざまな解釈がされています。お酒を飲んで酔ってしまうと、不殺生や不妄語など、他の四つの戒を犯しやすくなってしまうので、避けろということであって、全く飲んではいけないということではない・・・と、いうちょっと(かなり?)苦しい説明をされることもあります。

 私の属する西山浄土宗の宗祖である法然源空上人(法然上人)は、一般の信徒から「お酒を飲むのは罪でしょうか?」と質問されたとき、「できれば避けるべきだけれど、世間の習慣なので」と答えていらっしゃいます。法然上人ご自身は、生涯きびしく戒を守られた方ですが、一般の人々には柔軟な姿勢を見せていらしたのです。

 佐伯快勝上人という方が、五戒を解説した文章の中で、不飲酒戒を「心を安らかに、精神を落ち着いた状態に保つ」と説明しています。これはなかなか現実的で、教えの本質をとらえた「翻訳」だと言えるでしょう。お酒だけではなく、精神をむやみに興奮させるものを避けるというのは信仰生活の基本にしたいことです。

 しかし、お風呂上りのビール、夫婦でゆったりと飲むお酒、おいしい食事と共に味わう日本酒やワイン・・・心を安らかにしてくれるのでは?

 度を過ぎないというのがカギかもしれませんね。

 私ですか?私は基本的にお酒は飲めません。乾杯ぐらいはお付き合いしますし、おいしい和食とほんの少しの冷酒はおいしいと思いますが、自分から積極的に「飲みたい!」と思ったことはないので、不飲酒戒を守るのはそれほど難しくありません。今夜もウーロン茶飲み放題でした。

◎今日の写真は、アメリカ先住民のイロコイ族の人々のビーズ細工です。今から100年ほど前に作られたものです。