慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

東日本大震災の犠牲者のご供養

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 朝の勤行の時と、東日本大震災が発生した14:46に、灯りとお線香をともし、ご供養させていただきました。本当は梵鐘を鳴らしたかったのですが、慈雲寺には鐘撞堂がないので、キンスを静かに1分間断続的にたたきました。

 あれから五年たっても、福島の原発問題は先の見えない状況であり、地域の復興も阪神淡路大震災に比べて、非常に遅いと感じます。私は3年前に被災地である亘理町を訪れて、少しだけお手伝いをさせていただいたことがあります。その時、一番強く心に残ったのは、本堂も境内の大半も津波にのみ込まれた寺院の墓地で、小さな骨片を拾う人の姿でした。新しい塔婆が立てられていることにも胸をつかれる思いでした。

 その時のことがご縁になって、私は翌年イタリアとスペインで日本の復興の状況を僧侶としての視点からお話しする機会をいただけました。私にできたのは、本当に小さなことですが、被災者の方々が、世界中からの励ましにどれほど力を得ているか、そしてどれほど深く感謝しているかをお伝えしたいと思いました・・・・それぞれの会場はほぼ満員で、関心の深さに驚きました。

 慈雲寺の属する西山浄土宗の若い僧侶たちの何人かも、被災地へボランティアに行き、ご供養の行脚をしました。あれ以来、「宗教者として自分に何ができるのか?」「今、やれることはないのか?」と考え続けています。

 被災地に行っても「宗教の宣伝をするな」「僧侶とすぐ分かる服装をするな」という声を聞いたこともあります。一方、「お寺さんに来てもらって拝んで欲しい」という方もいるのです・・・ご縁が上手に結ばれていかないと、うまく行かないのですね。

 東北の復興はまだまだ長期的な取り組みが必要だと思います。なんとか、私が僧侶として一番お役にたてる場を探していきたいと思います。

◎今日の写真は、震災から二年目の冬の被災地のある寺院です。お地蔵さまには、まだ新しい花が供えられていました。