慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

ゴールデンウィークは寺内大吉の『浄土物語』を読んで過ごす

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 お寺は本来24時間、365日営業なので、真夜中でも祝日でも関係ありません。お役に立てることがあったら、いつでもいらしてくださいね。

 でも、まあ週末やゴールデンウィークにはお墓まりの人も多いし、やはり気分は平素とは違います。このゴールデンウィークの間は、毎朝子供たちが「英語教えて~~」と遊びに来るので、こちらも朝から楽しんでいます。自分たちで「朝練」を決めてやってくる子供たちなので、それぞれなかなかのつわもの揃いです。新顔のH君は歴史好きで、「勝海舟の直筆」を見たと興奮気味だったりします。

 私はここ数日、寺内大吉の『浄土物語』という本を読んでいます。先日、街を歩いていて小さな古本屋さんで見つけた本です。寺内大吉は浄土宗の僧侶なのですが、ちょっと色っぽい小説を書く人・・・という印象で、まともに読んだのは『女犯』ぐらいかなぁ?

 しかし、『浄土物語』はおもしろかった!お釈迦さまの臨終の場面から説き起こし、凡夫の往生についてやさしく、ときにちょっとなまぐさく説いていきます。

 慈雲寺の属する浄土宗西山派西山浄土宗)では、信仰の基盤を浄土三部経と呼ばれる経典類においています。中でも、『観無量寿経』というお経を重視します。この経典には、親子のドロドロした葛藤がこれでもかというほど書かれていて、その苦しみの中から極楽往生を願う凡夫に、お釈迦さまが阿弥陀仏の救いと説くというお話です。

 この経典に描かれた苦しみは今の時代にもピッタリとあてはまります。主人公の韋提希夫人の姿はそのまま、私たち凡夫の姿なのです。しかし、経典の現代語訳を読んでも、残念ながらなかなか簡単には心に入ってきません。しかし、『浄土物語』を読むと、韋提希夫人が何を苦しみ、どう救われていったのかが、すっと心に響いてきました。

 また、『浄土物語』には、法然源空上人(法然上人)をはじめ、親鸞一遍上人がどのように浄土三部経の教えを受け止めたかについても書かれていて、寺内独自の解釈がとても興味深く思えました。

 寺内大吉は「なまぐさ坊主」などと呼ばれて、僧侶たちの間では評価の分かれる人のようですが、自らの信仰を自分の言葉でわかりやすく語る努力は見習わなくてはいけないと思いました。

◎今日の写真は、カナダのバンクーバーで見た野草です。慈雲寺の境内にもたくさん雑草が生えてしまっているのですが、かわいらしい花を咲かせていると、つい「花が終わるまで取るのをやめよう」と思ってしまいます。