慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

浄土三部経について Par 1

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 慈雲寺は浄土宗西山派西山浄土宗)のお寺です。浄土系の宗派、たとえば浄土宗の鎮西派(知恩院や増上寺など)、浄土真宗西本願寺東本願寺など)では、浄土三部経と呼ばれる三つの経典を大切にします。

 それぞれの宗派によって、『観無量寿経』、『無量寿経』、『阿弥陀経』のどれを特に重要視するかは違っています。西山浄土宗の場合は『観無量寿経』が中心になりますが、どれも阿弥陀仏による私たち凡夫の救済について説かれています。

 実は、この三種の経典は最初からセットだったわけではありません。これらが浄土教の教えの基盤であることを明確にされたのは、西山浄土宗の宗祖法然源空上人(法然上人)です。

 法然上人は、自らの宗教的確信を『選擇本願念仏集』(選擇集)に纏められましたが、その中で、これらの「浄土三部経」が称名念仏による浄土教のよりどころであることを明らかにされたのです。

 阿弥陀仏や極楽浄土について述べた経典は他にも数百点あると考えれれています。しかし、凡夫の極楽往生について明確に詳しく説かれているのが「浄土三部経」なのです。

 浄土三部経のいずれにも、極楽の様子、極楽がなぜ作られたのか、阿弥陀仏の思いや願いといったことが美しい文章で書かれています。特に『観無量寿経』は、ギリシャ悲劇と共通するような、家族の葛藤の物語が展開されていて、非常に興味深いものです。

 浄土三部経サンスクリット語から漢語や呉語に訳されたものが日本に伝えられています。今、お寺で読経されるときは、漢語のものを読み上げるのが普通です。

 しかし、岩波文庫法蔵館などからとても読みやすい現代語訳も出ていますので、ぜひ一度読んでみてください。

◎今日の写真は大阪で見た瓦を積み重ねてデザインされた土塀です。