二か月前から、「旅行読売」という旅行の専門誌で旅エッセイの連載をさせていただいています。テーマは関西地区の「ご利益で有名な社寺」。浄土宗の教えでは、あまり現世利益を語らないのですが、どんなご利益を求めて人々がお参りに来るのかにはとても興味があります。
来月号(8月初旬発売の9月号)では、奈良の「大和長寿道」を取り上げました。この巡拝路は桜井市の安倍文殊院と橿原市のおふさ観音を結んでいて、この二つのお寺にお参りすると「ぼけ封じ」にご利益があるとか。
藤原京の跡を歩く4キロほどの道や、香久山、耳成山、畝傍山の大和三山を見渡す、なかなか気持ちの良い散策路でした。
ここでご利益をいただける「長寿」とは、智慧と体の健康の両方がそろっていることがポイントです。ただ長く生きるだけが「長寿」ではなく、精神も体も「かくしゃく」としていることです。
金子満雄をいう脳外科の先生のお書きになった『生き方のツケがボケに出る』という本によれば「高齢まで脳を生き生きと保ち、かくしゃくと生きることは本人の努力と心がけ次第では、かなり実現性がありそう」なのだそうです。
大和長寿道のご利益はここに力点が置かれていますね。長寿のコツは人との交流を保ち、新しいものに興味を持ち、美しいものを愛する気持ちが大事なようです。お寺は、心の平安を保ち、智慧を深め、慈愛を育むのにぴったりの場所ですね。ぜひ慈雲寺にもお参りにいらしてください。できれば歩いていらっしゃるのがおすすめです。慈雲寺の本堂にはいつでも冷たい麦茶をご用意しています。
◎今日の写真はウズベキスタンで見た素朴な織物です。なんだか絣のような感じもしますね。