慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

蝉が鳴き始めました

f:id:jiunji:20160717154535j:plain

 いつもは鳥の声で目が覚めるのですが、今日は蝉の鳴き声で起こされました。ここ数日、急に羽化が始まったようです。いよいよ夏本番ですね。

 私が長く住んでいたカナダのバンクーバーには蝉はいませんでした。バンクーバーは暖流が通る海沿いに広がっている街なので、カナダの中では最も温暖な都市です。しかし、緯度でいうと樺太と同じぐらいですから、蝉が生息するには寒すぎるということなのでしょうか?

 ですから、蝉の鳴き声は私にとっては「日本の夏」の象徴のようなものです。地中で長い間過ごし、羽化して一週間ほどの命というのも、なんか哀れで風情がありますね。

でも、全ての蝉が上手に羽化できるわけではないようです。先ほどお寺の門のところを掃いていたら、蝉の抜け殻を見つけました。「あらあら・・・抜け殻だ。今朝鳴いていた蝉かしら?」と思ったら、すぐそばに蝉が横たわっていました。羽化したばかりのような透明の羽の一枚が真ん中から折れていて、どうやら飛べずに地面で苦しんでいるようでした。まだ、かすかに足を動かしています。どうすることもできそうにないので、せめてもと思い、日陰に置いてやりました。

 この蝉は命を十分に生かすことができずに死んでいくことでしょう。命の儚さを思わないではいられません。私たちも羽を広げられずにもがいているような気持ちになるときがありますからね・・・・

 人は蝉よりは長く生きることができますが、命の危うさ、儚さは同じです。しかし、仏の教えを聞くことができるのは人間にだけ許された特別な状況です。ですからこそ、この命を大事にして、仏様の教えにご縁を結んでください。お寺はそのお手伝いをさせていただく場です。

 8月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は8月21日に行います。テーマは「お地蔵さまって誰?」です。身近にあるお地蔵様がどのような菩薩さまなのか、ご一緒に学んでみましょう。

◎今日の写真は、1400年前から続く伊勢街道(横大路)の八木札の辻に残された旧家の建物です。昔は伊勢街道を旅する人の宿屋だったとか。