慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

真贋もあやしい巻物に6億円!

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 先日、境内地売却の膨大な収益を申告漏れさせていたと報道された名古屋の興正寺ですが、昨日の新聞にまた別の問題が報道されました。空海ゆかりとされる巻物を6億円で購入していたというのです。その真贋もどうやらあやしげ・・・しかも、巻物の代金の他に、売買の仲介料とかコンサルタント料とか、なんともきな臭い費用がまとわりついているのです。

 怪しげな骨董屋や茶道具屋があしげく出入りするお寺もあると聞いています。特にバブルのころは「どう見ても変でしょ?」と言いたくなるような雪舟もどきが横行したりしましたね。幸か不幸か、慈雲寺は貧乏寺という評判が行きわたっているせいか、そういう人が訪ねてきたこともありません。

 箪笥や蔵を見ても「いかにも名品」というのはないようです。残念なような、かえってホッとしたような・・・・・でも、時々掛け軸を替えて楽しめたら良いなぁと思っているところです。できれば、涅槃図のように絵解き説教に使えるようなものがあるといいのですが・・・・どうやら、歴代の慈雲寺住職はあまり興味がなかったようです。これも残念なような、ホッとしたような・・・・「ホッとした」の意味は、私のようなずぼらな人間は、なまじな名品があったら保存や維持をきちんとする自信がないからです。あ、お寺に伝わるものを大切に保管するするのも住職の大切は役割でしたね。

 ところで、その6億円の巻物ですが、どうして前住職はそんなものを欲しかったのでしょうねぇ。権威づけの意味もあったのかしら?

 いや、経済的に余裕があるなら、もちろん宗派に関連した文献や美術品を集めるのは悪いことではありません。散逸したり、破損したりする危険から、誰かが積極的に保護すべきだからです。そのために、美術館、博物館、大学などが購入するのは大賛成。寺院も協力できるならすべきでしょう。少々無理をしてでも入手しなければ、それが外国に流出したり、適切に保存・公開されないところに行ってしまう危険があるからです。

 しかし、今回の興正寺の場合は、なんだかそういうものではなさそう。本物でも、億単位の値段がつくようなものではないという意見もあるよいうですから・・・・

◎今日の写真は鞍馬山の森です。京都も、このあたりまで登れば少し涼しいですね。