慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

三蔵法師と『般若心経』・・・・「玄奘三蔵と薬師寺展」へ。

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 23日の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」のテーマは『般若心経』です。このお経は中国で何度も翻訳されました。有名なのは鳩摩羅什の訳と三蔵法師玄奘の訳したものです。今、私たちに馴染み深い「流布本」と呼ばれている『般若心経』は玄奘の訳したものが基になっています。

 先日、京都の本山で御法主の講義を受けた後、琵琶湖のほとりにある佐川美術館へ行ってきました。ちょうど「玄奘三蔵薬師寺」という展覧会をやっていたからです。佐川美術館はとても贅沢な設計で、展示スペースにも余裕があり、アクセスがとても不便なせいか、観覧者もとても少ない。おかげで、たっぷりと三蔵法師の思いを感じながら、ゆっくり鑑賞することができました。

 御存じのように、三蔵法師は『西遊記』のモデルになった僧侶。経典を求めてインドへ向かい、さまざまな困難を経て、20年近くかかって戻ってきた人です。法師がもたらした膨大な経典の中に『般若心経』も含まれています。

 法師は、帰国するやいなや、サンスクリット語で書かれた経典を中国語に翻訳する作業を始めました。そのおかげで、私たちが今、さまざまな経典を読誦することができるのです。玄奘の翻訳は非常に精密で、原語に忠実に訳そうとしているそうです。一方、鳩摩羅什は原語に厳密とは言えない部分もあるそうですが、流麗で美しい表現になっています。おもしろいですね。

 さて、その展覧会で特に印象に残ったのは、三蔵法師の立像です。私は西安で法師が経典がいっぱい詰まった大きな箱を背負った絵を見ていたので、そのイメージが強かったのですが、今回見た立像は全く違っていました。江戸時代の作品なのですが、筋骨隆々、目つきも鋭くて不屈の意思を感じさせます。

 確かに、こんな顔つきの人でなければタクラマカン砂漠は越えられなさそうです。

この展覧会で買った図録には、玄奘と『般若心経』の関係についての記事もあったので、23日にご紹介したいと思います。

◎今日の写真は慈雲寺の属する浄土宗西山派西山浄土宗)の総本山のある、京都西山の写真です。西山周辺はおいしい水に恵まれていて、あちこちに湧き水があります。この写真の湧き水は阪急の天王山駅の近く、西国街道沿いにありました。冷たくて、やわらかな水です。西国街道を旅する人や馬も、この水を楽しんだのでしょう。