慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

師僧の衣鉢を受け継ぐ

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 夏が終わったのが信じられないとジタバタしていた私ですが、先ほどの天気予報では「明日は冬の服装でお出かけください」と聞いて諦め(??)が付きました。あ、別に夏が好きなわけではありません。湿気の多い日本の夏には泣いています。

 私の冬支度は、師僧が使っていた「でんち」を着ること。「でんち」とは、綿入れになっている羽織ですが、体の前の部分は無く、背中部分だけ。紐で背負うような形になっています。背中が温かいと、なんだか体中がポカポカしてきます。

 師の僧侶から弟子に引き継がれる「財産」は、仏の教え、衣、そして托鉢に使う鉢です。跡継ぎのことを「衣鉢を継ぐ」というのはこのことからきています。

 私は小柄ですが(横幅は大柄ですが・・・)、師僧は私以上に小さな方だったので、師僧が使っておられた衣のほとんどは着ることができません。先々代の住職は背の高い方だったのですが、私の師僧が自分の手で丈を短く直して着ておられたようです。

 でも、「でんち」は大丈夫。これを着ると、師僧の温かい教えに触れているような気がして嬉しくなります。今まで慈雲寺を護って来た師僧たちの衣鉢をきちんと継げるか心もとないですが、少しずつ精進していきたいと思います。

 ところで、「でんち」ってどういう漢字を書くのか気になったので、今日少し調べてみました。どうやら「殿中羽織」から来ているという説が有力のようです。

◎今日の写真はアメリカの先住民、チェロキー族の人々に伝えられたバスケットです。素朴ですが、実用的で美しいものでした。