慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

巡教のお説教の準備 (その1)

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 今年は九州に巡教に行かせていただけることになりました。この「巡教」というのは、慈雲寺が属する、浄土宗西山派西山浄土宗)の御法主が毎年お正月に発表なさる「お言葉」を末寺の檀信徒の皆様にお伝えする役割です。その「お言葉」を基にしてお説教を組み立て、お言葉の解説をすることになります。

 例年、「お言葉」は500字ほどの短いものですが、なかなかに奥が深いのです。御法主のお気持ちを私自身の言葉に置き換えるのはとても難しく、かみ砕き過ぎて格調や味わいを失ってな何にもなりません。

 特に今回は、お十夜の法要の場にうかがうことになっていますので、「お十夜」の意義と結び付けてお話しする必要があります。さらに(!)難しいのは、今回、巡教に回らせていただく地域では「初十夜」という宗教的な慣習があることです。その年に新たに亡くなられた方のご家族が、初めて迎えるお十夜が「初十夜」です。

 近しい家族をお浄土へ見送った方々にどんなお話しをしようかと、巡教が決まってからずっと考えています。「命」の意味、「生きる」ことと「死」との関係、身近な方の死から見えてくるもの・・・・などなど、お伝えしたいことはたくさんあります。しかし、いたずらに哀しみを深めてしまうものではいけないでしょう。

 聞く人の心が穏やかになり、亡くなった方の御供養に気持ちが向き、それがやがて生きる力になるようなお説教をしたいものです。いやいや・・・・あまりに「狙い」を定めるようなお説教は真実から離れてしまいますね。

 私も今年は伯母を亡くしています。私にとっても「初十夜」なのですね。伯母への思いを通して、私が何を感じたのかを素直にお伝えしようと思い始めています。

◎今日の写真は、慈雲寺の属する浄土宗西山派西山浄土宗)の総本山光明寺の紅葉です。この写真は数年前のものです。今年は少し紅葉が遅めの気がしますが、ここ数日冷え込んでいるので、グッと進むかもしれません。