慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

ハラールの玄米茶ティーバッグ

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 先日、出張したときに泊まったビジネスホテルでの出来事です。部屋に供えられた玄米茶のティーバッグの袋の裏を何気なく見たら、日本イスラーム文化センターのHALAL認定証が印刷されていました。このお茶がハラールであることを認定した印です。

 ハラール(ハラル)は、イスラム教において「神に許された」モノや行為のことをいいます。反対に許されていないものはハラーム(ハラム)といいます。嘘をついたりを盗んだりするのはハラームです。食べ物にもハラームはたくさんあります。

 イスラム教の場合、豚は最も忌むべきハラーム。豚肉やその加工品を食べてはいけないのはもちろん、一度でも豚肉を調理するのに使った鍋やフライパンで調理したものもハラームになってしまいます。

 お酒もハラーム。厳しく解釈すれば、発酵途中でアルコール分が生まれるミソや醤油などもハラームになってしまいます。

 ホテルの玄米茶の場合、原料も加工のプロセスの間も、ハラームに当たることとは一切無関係だと認められたという認証です。

 ハラールやハラームについての認識は、だんだん広がっているようで、成田空港の中のうどん屋さんにもハラール認定の認定証が掲げられていたのでびっくりしたことがあります。

 私は比較宗教学を少しかじったので、他の宗教の考え方や慣習、行事などにとても興味があります。宗教を知ることは文化を知ることだからです。

 もちろん、仏教にもさまざまな禁忌があります。飲酒も五戒という最も基本的な戒めで禁じられています。神道でも、祭りの責任者に選ばれたものは肉食を絶たなければいけないと定められた神社もたくさんありまります。

 一般的に、日本では食べ物に関する宗教的な禁忌には寛容です。それは日本人の宗教的文化の特徴の一つでもあるので、私はこの「ゆるゆる感」をそれほど悪いものだとは思っていません。

 しかし、厳しく食物禁忌を守ることが、非常に重要な宗教もたくさんありますから、それを尊重することはとても大切です。「少しぐらいいいじゃないか・・・」とイスラム教徒に豚肉やお酒を勧めたりするのは論外だし、失礼の極みです。

 外国の方を迎えるときには、特に注意したいものです。率直に「何か禁じられている食べ物はありますか?」と聞いてみるのがおすすめです。

 ちなみに、神に許されたハラールの玄米茶は美味しかったですよ。

◎今日の写真は近江八幡の瓦焼きの技術を生かした花器です。近江八幡は瓦で有名ですが、伝統的な瓦の需要は下降を続けているようです。しかし、瓦製造の技術を使って新しいものを生み出す努力もされているようで、この花器もとても魅力的でした。