慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

良き葬儀のカギは「枕経」です。(枕経についてPart 1)

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  新聞を開くたびにどこかの葬儀場の宣伝チラシが入っています。「早割!」とか「今お申込みの方に蟹一杯プレゼント」など、少々理解に苦しむ(??)ようなコピーが踊っています。ポイントは値段のようです。

 もちろん、葬儀にも「お値打ち」を求めるのは当然のことです。しかし、本当の「お値打ちな葬儀」とは、値段の安さや祭壇の豪華さではなく、逝く人を荘厳で温かく、丁寧に見送り、残された人々の哀しみを癒し、希望につなげる「良いご葬儀」かどうかだと思います。

 「良いご葬儀」の大事なカギとなるのが「枕経」だと私は思います。

 枕経とは、ある方が亡くなったとき、知らせを受けた僧侶が駆け付け、枕元で短いお経をあげ、おカミソリをして亡くなった方を僧形して差し上げる儀式です。残された人々が深い悲しみと混乱にあるとき、僧侶の短いけれど、ゆったりとした読経を聞いて、心をいったん落ち着かせる意味もあります。

 自宅で亡くなられた場合、葬儀場に連絡するのと同時にご縁のある僧侶にご連絡なさるのがおすすめです。病院で亡くなった場合、いったんお宅へ戻ったときに行います。しかし、最近は病院からそのまま葬儀場へ移送される場合が多いかもしれませんね。

 いずれの場合にも「枕経」を受けられる場所、その用意について、葬儀社がどのようにしてくださるのか、きちんとお話ししておくことが大事だと思います。

 値段の安さだけを強調した「パッケージ」だと、この「枕経」が含まれていない場合もあるので要注意です。異分野から最近「葬儀業界」に参入したところなど、「枕経」のことを知らない場合さえあるといいます。

 ましてや、葬儀社からの紹介で「派遣僧侶」などを頼む場合、枕経は「派遣パッケージ」に含まれないことが多いそうです。しかし、枕経にやってくる僧侶と葬儀について相談し、戒名についても話し合うことが「良い葬儀」のスタートだと私は信じています。

 私は、生前あまり深いご縁の無かった方のご葬儀を頼まれた場合、枕経にうかがったときに、いろいろとご遺族とお話しし、亡くなられた方の性格やお好きだったもの、思想信条などをうかがった上で戒名を授けさせていただくのです。

                        (つづく)

◎今日の写真は、眼病に御利益があるお寺として知られる柳谷観音さまの書院です。