慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

弘法大師のお言葉

弘法大師空海のお言葉

衆生の解脱せざるは、

ただ名利を貪るによる。

己の心を他に従へんと欲はず

ただ他を己に従へんと欲う。」

 

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 慈雲寺は浄土宗の西山派(西山浄土宗)に属しています。当然、御本尊は阿弥陀如来なのですが、脇壇には弘法大師空海さまのお像もお祀りされています。

 今は名古屋市緑区に属していますが、もともと慈雲寺の周辺は知多郡、つまり知多四国八十八か所で知られる知多半島の付け根に位置しているのです。知多半島のお大師信仰の宗教文化圏に属していると言えるでしょう。慈雲寺のお大師さまも、もともとは近隣の庵に祀られていたものをお預かりしているそうです。

 真言宗の教えについては、仏教史の授業を受けたときに、ごくごく簡単な説明を受けただけです。また、あちこちのお寺で「弘法大師が祈祷したら湧いてきたお水」とか「お大師さまに願ったら病気が治った」などという由緒書を読んだことはありますが、実際にが語った言葉というのは、ほとんど知りませんでした。

 12月と1月には弘法大師のお縁日に、お大師様のことをお話しするので、その準備のために何か良い本はないかと栄の本屋さんをうろうろしていたら、何か後ろから視線みたいなものを感じて、フッと振り返ったら、なんと!『空海 人生の言葉』という本が目の前に!

 弘法大師の代表的な著作の中から、短い原文を引用し、それにやさしい現代語訳を川辺秀美とい人がつけたものです。あえて解説は書かれていませんが、現代語はかなり意味をくだいて伝えるものになっています。

 冒頭のお大師さまのお言葉の現代語訳は

「あなたが泥沼から這い出させないのは

ひたすら地位や利益を貪っているから。

他人のために生きようとは考えず

ただ自分が得をすることばかり。」

 善を為し、悪を止め、他の人の為になることをする・・・この三つは仏教徒の生き方の基本ですね。

◎今日の写真はカナダの代表的なワインの産地、オカナガンのワイナリーです。寒い夜は、こんな明るい陽射しが懐かしいですね。