慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

趣味を一緒に楽しんだ友に送られて

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 Fさんの通夜、葬儀に参列して、京都から戻ってきました。今日は空が青くて、日差しの温かな一日だったのですが、私は一日中ぼんやりと過ごしていました。

 葬儀は盛大で参列者も予想を大きく上回っていたようで、葬儀場のスタッフはかなり慌てているように見受けられました。

 落ち着いて会場のスタッフに任せることができなかったご遺族がお気の毒でなりませんでした。こんなとき、僧侶も気づかいをすべき点がいくつもあることも学びました。例えば、自分のお説教の声がきちんと届いているかどうかは、少し注意すればわかるはずですから。

 小僧の時に、Fさんからは本当にたくさんのことを教えていただきました。檀家とお寺の関係の在り方、菩提寺に対する気持ちにどうこたえるかなど、住職になった今、Fさんの言葉が少しずつ「ああ、そうだったのか」と思いあたるようになりました。Fさんから受けた教えは、これからも長く私を支えてくれることでしょう。

 今回の葬儀でも、僧侶としての在り方、法要の儀式の進め方、お説教のありかたなど、さまざまなことを学ばせていただきました。

 私は御恩返しが全くできないうちに、Fさんとお別れすることになってしまいましたが、せめて・・・という思いをこめて、読経をさせていただきました。

 今回の葬儀で強く心に残ったのは、出棺の直前に、Fさんが長く趣味にしていた詩吟のお仲間が、友人を送る詩を吟じたことでした。10人ほどの人々の声は哀愁に満ち、友を送る真摯な気持ちがこもっていました。

 誰にでも親切で正直だったFさんは、たくさんの友人、知人たちに送られて極楽へ迎え取られたのだと、哀しみの中にも心が温まる思いでした。

◎今日の写真は和歌山市にあるお寺の庭です。大きな蓮の花が描かれています。極楽に迎え取られたときは蓮の花の上に生まれるそうです。さぞや美しいことでしょうね。