慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

喪服は亡くなった方への敬意の表現

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 私はカナダの西海岸の町で40年近く過ごしました。カナダは移民の国。世界各地からさまざまな慣習が持ち込まれています。ですから、一概に「カナダでは」という言い方をするのは、一般化しすぎてしまう危険があります。でも、今日はちょっと「カナダでは」のお話しをしましょう。

 カナダで子供の躾や教育にきちんとした方針を持っている家庭では、小さな子供にも「正装用の服」を用意します。そうした服装を「サンデースーツ」と呼びます。それは、日曜に教会のミサや礼拝に着ていくための服です。男の子なら落ち着いた色のジャケットと長ズボン。ネクタイか蝶ネクタイとカッチリしたデザインの靴も揃えます。女の子はスカートとジャケット。スカートはやや長めです。靴はエナメルが多いでしょう。

 教会という、日常生活とは違う「聖なる場」に出掛けるとき特別な服装をするのは、神への敬意を表し、礼拝の雰囲気に溶け込んで居心地よく過ごせる合理的な知恵でもあります。

 日本でも、こういう「子供の正装」は大切なものだと思うのです。特に葬儀に参列する場合には・・・

 私は葬儀には子供も参列すべきだと思っています。赤ちゃんや小さな子供でも、読経の間に騒いだり、泣いたりすることは案外少ないものです。木魚の音が子供たちの心を落ち着かせるのでしょうか?

 葬儀は人間の「命」について考える、最も良い機会です。葬儀の意味について、ぜひお子さんと話してください。

 そして、葬儀に参列するときに、きちんとした服装をすることの大切さも、ぜひ日ごろから話してあげてください。

 昨年、ある葬儀に参列したとき、女子高生が制服で参列していました。学生が制服で参列するのは良いのですが、スカートの丈が太ももの半分ほどの超ミニ丈。う~~ん・・・

 また、亡くなられた方のお孫さんらしい大学生(?)の男性は黒のジャケットは来ていましたが、ネクタイは無しで、シャツのボタンを二個はずしていました。これもう~ん・・・

 喪服は亡くなられた方への敬意と哀悼の気持ちを表すものです。高級なものである必要はありませんが、清潔で「きちんとした」ものであるべきでしょう。

 ハレとケの違いについて、家族で話す機会をぜひ作って下さい。

 私は、普段のファッションは、それぞれの人の「自分の気分」「自分の好き好き」「自己表現」が優先されるべきだと思っています。「ブランドだから」とか「今、流行っているから」とか、「学生らしく」とか「シニアらしく」などという外からの規制に左右される必要はないでしょう。

 しかし、喪服は例外だと思うのです。寺院や葬儀場という特別な場で、葬送という特別な状況に参加するのですから・・・

◎今日の写真はカナダのブリティッシュコロンビア州にあるオカナガン湖です。