昨年から、毎月「旅行読売」という月刊誌に連載記事を書かせていただいています。御利益のあることで知られる関西の社寺を取材して、短い記事に仕立てます。取材先を決めるのは編集者と相談ですが、私から提案できるので、毎月、どこへ行くか考えるだけで楽しい。
日本には、まだまだ知らない所ばかり。信仰の場の雰囲気も、神秘的だったり、少しユーモアを感じさせたりいろいろです。
ライターにとっては、連載記事を書かせてもらえるのは、本当に嬉しいことです。その嬉しさの大きな部分は、担当の編集者とのご縁にあります。ライターは、信頼できる編集者に出会い、その人に記事を読み込んでもらい、編集してもらうことで成長することができると私は信じています。
取材に行くとついつい思い入れが深くなりすぎて、説明過多になったり、反対に自分の体験が先になって説明不足になったりしがちです。そこに、「読み手」としての編集者の目がありがたいのです。一字一句直す必要のない完全原稿を出せるような才能のあるライターなら別でしょうが・・・
私は、ライターの仕事をし始めたばかりの頃から、良き編集者に恵まれてきました。この仕事が楽しい、やりがいがあると思い続けて来られたのも、その為だと感謝しています。
残念ながら、今、出版業界は経済的にも人材的にも余裕がなくなっています。出版社は良き編集者を育てる余裕がなくなっているのです。ライターは、編集もカメラマンも兼任し、すぐ印刷に出せるような状態で入稿できる人が重宝がられます。しかし、誰の目も通さずに、良き読み手、良き編集者の手を経ない文章は、しばしばライターの自己満足に陥りがちです。これが続けば、出版業界は衰退のスパイラルになだれ込んでいくことになってしまうでしょう。
前回の取材は奈良県の信貴山へ行きました。「尼僧体験」をしたのです。真言宗の僧侶の一日をほんの少し体験させていただきました。他宗の僧侶たちが、どんな修行をしているのか、とても興味深い一日でした。その記事は、今、本屋さんに並んでいる「旅行読売」に掲載されていますので、機会があったらご覧いただければ幸いです。
●今日の写真は、その「尼僧体験」の時、夜明け前に護摩祈祷に参列するために護摩堂に向かう途中の様子です。