慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

暴力で暴力を抑えることはできない・・・ラスベガス銃乱射事件の日に

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 昨夜、新幹線に乗っているときに、ニュース速報が流れました。「ラスベガスで銃の乱射。死者三十名越え」という文字が流れて行きました。

 20年以上も前になりますが、私はアメリカの西海岸の旅行ガイド本を3冊書きました。以来10年ほど、そのガイド本の情報更新のためや、他の雑誌の取材などで年に数回はラスベガスに行くようになりました。

 私は、あの「何もかもが人工的」な街が嫌いではありませんでした。街の周辺には砂漠地帯が広がっていて、パワフルな大自然に囲まれています。真っ赤な奇岩の続くハイキングコースを歩いた後に、エッフェル塔やピラミッドが並ぶ「フェイクの都市」に戻るのは、その落差の大きさが刺激的で面白かったのです。

 ギャンブルには全く興味が持てず、時々20ドルぐらいスロットマシンで遊ぶのがせいぜいでしたが・・・

 被害があったコンサート会場もすぐに「あ、あそこか!」と見当が付きました。亡くなられた方や負傷なさった方々には、本当にお気の毒だと思います。明日の朝の勤行の時に、回向させていただこうと思っています。

 しかし、改めてアメリカが銃の社会であり、一般人が重火器をたやすく手にできる国なのだと思い知らされました。事件を悼む大統領の言葉の中に、銃社会への疑問や警告が一切なかったのも印象的でした。

 仏教は、「恨みに怨みで報いるのは間違っている」と強く戒めています。暴力を暴力で抑え込むことなどできないからです。犯人の動機は明らかにはなっていませんが、「暴力を肯定する社会」では、政治的動機、病気、絶望、金銭などなど、あらゆるきっかけで大量の命が失われる可能性があるということです。

 もちろん、最大の暴力は戦争です。

 私はラスベガスに日本の観光客がもっと訪れて欲しいと思っていました。自分にできることで協力したいと、記事を書いてきたのです。旅行ライターとしても、哀しい事件です。

◎今日の写真は、嵯峨野の大河内山荘で見た鹿威しです。