慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

お逮夜の大切さを思い出してみませんか?

 

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 先日、知人や僧侶の方々とお話ししていて、「お逮夜」という言葉が出てきました。「お逮夜の習慣ももうこの辺りではなくなったねぇ・・・」と一人が言うと、「いや、まだ私のお寺の周りには残っていますよ。」という方もいました。

 お逮夜とは、一般的には、四十九日や一周忌、祥月命日などの特別な供養の日の前日などに、僧侶を招いて読経をしてもらい、集まった人々に食事などをふるまう宗教的な慣習です。やり方は地域によってずいぶん違いがあるようです。

 慈雲寺の周辺の方にうかがうと、一周忌や三回忌などの法要の日は、親族だけを招いておこなうけれど、その前日、お逮夜の日はご近所や知人、友人などが集まってくださるのだそうです。

 私は東京で育ち、「お逮夜」という言葉は知っていても、実際に体験したことはありませんでした。しかし、このご近所の方や友人、知人に集まっていただくお逮夜というのは、とても良い習慣だと思いました。

 故人を偲ぶ気持ちは血縁者だけに限りません。友人やご近所の方々を失ったとき、その人を偲んで、ご縁の有った方々と思い出を語り合い、故人を供養したいという気持ちになるのは自然なことだと思います。

 法事の前日に、多くの人を接待するのは大変かもしれませんが、本当に簡単な軽食や茶菓を用意するだけで十分でしょう。来て下さる方にも「平服で」とお知らせして、気軽に来ていただくと良いでしょう。

 ご近所や友人、知人の口から、故人の思い出話を聞くのは、残された家族にとって、本当に慰めになります。そこから、新しい縁も生まれてくることでしょう。

 慈雲寺の先代の一周忌の時にも、近隣の僧侶や総代、親族の方々をお招きした「正式な」法要の他に、ご近所の方々をお招きして簡単な食事会をしました。その時には「お逮夜」というような意識はなかったのですが、先代様の思い出話に花がさいて、楽しい会になりました。

 七回忌の時は、ぜひお逮夜をしてみようと思います。

今日の花はカナダの西海岸に咲いていた野草です。