慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

慈雲寺の宗派について Part1

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 「慈雲寺は何宗ですか?」というご質問をいただきましたので、少し詳しくお話しいたします。その前に、「宗派」というものに対する私の思いをお話ししておきます。私は「仏教」という大きなくくりの中に含まれるなら、宗派というものにそれほどこだわっても仕方がないと思っています。

 お釈迦様は「対機説法」といって、相手の能力や環境、性格などに合わせて、さまざまな方法で教えを説かれました。8万4000種類もあったと言われています。ですから、自分の心や能力、環境に一番しっくりする道を歩めば良いと思うのです。

 ただし、今、私たちは末法という時代に生きています。仏教の伝わり方も、指導する僧侶たちの能力も、聞き手の性格や能力、社会環境の全てが劣悪な時代なのです。お釈迦さまは、そんな末法に生きる人々のために、阿弥陀様の救いについて説かれたのです。

 もちろん、状況は劣悪でも、お釈迦様が示された別の道を必死に歩もうとしている人々もいます。自力による救いを目標にしている人たちです。もしかしたら、恵まれた能力や環境にいる方は、自力で悟りの世界に入れるかもしれません。

 ですから、他宗派の教えを比較したり、批判したりしても、あまり意味があるとも思えません。もちろん、私は比較宗教学を学びましたから、他宗派の教えに興味は山ほどありますが・・・

 さて、慈雲寺は浄土宗の西山派に属しています。西山派は明治時代に三つに別れ今に続いています。慈雲寺は西山三派の中で、総本山を京都府長岡京市にある光明寺に置いている「西山浄土宗」に属しています。西山三派は、共同で教学の講習会を行ったり、いろいろと親しい交流関係にあります。

法然上人とその弟子たち

 日本で浄土の教えを確立したのは、鎌倉時代の僧侶、法然源空です。今は、一般に法然上人と呼ばれている方ですが、本来は僧侶としての名である源空上人という方が良いのではないかと思っています。

 法然上人にはたくさんの優れた弟子がいましたが、現在まで続いているのは、三つの流れだけです。

 最も有名なのは親鸞聖人の流れである浄土真宗でしょう。また、聖光房弁長上人から始まるのが、浄土宗の鎮西派です。現在、知恩院を総本山として「浄土宗」を名乗っているのは、この鎮西派の流れをくむ人々です。

 最後の一つが、浄土宗西山派です。西山派は善慧房証空上人を流祖としています。

 弁長上人も親鸞聖人も法然上人の直弟子ですが、御一緒に過ごした期間はそれほど長くありません。一方、証空上人は、最初に出家したときから法然上人の弟子であり、法然上人が亡くなるまで、20年以上にわたっておそばにいた方です。

 法然上人の最も円熟した宗教思想に直接学んできたのが証空上人と言ってよいでしょう。

                                (つづく)

◎今日の写真はカナダのナイアガラの滝近くにある、ナイアガラ・オン・ザ・レイクという街の住宅です。この街には英国風の庭の美しい邸宅がたくさんあります。