慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

麻原の死刑執行で、オウム真理教の事件が終わったわけではない

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 麻原死刑囚など7人の死刑執行が昨日行われたというニュースを聞きました。昨日の段階では、ワイドショーなどの報道は興味本位過ぎて、じっくり考える材料にならないと感じました。

 今朝、中日新聞を受け取ってから、ゆっくりゆっくり読んでいます。中日新聞には、田中正明という人が、主に政治的なことを題材にした風刺画が掲載されます。この風刺画がなかなか事件の本質をついていることが多いのです。その田中さんの今朝の絵には、「宙ぶらりんのまま闇の中へ」というタイトルがつけられ、闇の中に、麻原を思わせる結跏趺坐姿の男のシルエットが白く浮かんでいます。

 

 このブログにも何回も書きましたが、仏教徒は殺生、特に人間を殺すことを厳しく戒められています。自ら殺すことも、他人に殺させることも不殺生戒をやぶることになります。ですから仏教徒として、死刑制度には反対です。

 冤罪の可能性がゼロでないのも大きな理由です。また、「死刑が犯罪抑止に効果がある」という主張も、1976年に一般刑法から死刑を排除したカナダの例を見ると、統計的に明らかに否定されています。

 さて、今回の死刑執行は、オリンピックや元号が変わることなど、さまざまな政治的な配慮があってのことのように思えますが、これで「終わり」になったわけではないでしょう。

 オウム真理教の影響は、社会一般はもちろんのこと、宗教界にも深く残されています。オウムに出家した人々の動機、なぜ信者は麻原に従ったのか、いったい信者は何を求めていたのか・・・オウムの教団が驚異的なスピードで成長した理由、背景、資金の流れなど、解明されていないことは山ほどあります。

 「狂信的なグループに洗脳された殺人者」を死刑にしておしまい・・・というわけにはいかないと思います。

 この事件によって、日本人の宗教離れが劇的に進んだという意見もあります。

 しばらくは、じっくり、オウム真理教の問題について、考え直してみようと思っています。

◎今日の写真はニューデリーにあるインド門です。第一次大戦に英国軍として参戦したインド兵の戦没者慰霊碑です。