慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

五感をゆったり「観」じる

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 仏教の教えには、しばしば「観」という言葉が使われています。「観光」の観ですが、対象を正しく観察する仏教の実践的修行の一つです。最近、良く真言宗系のお寺で「阿字観体験」を行っていますが、これも梵字の「阿」の字を見つめながら心を集中していく瞑想法の一つです。

 末法の時代に生きる私たちは、瞑想をしようとしても、次々と妄想が沸き上がってきて、すぐに心を静めて集中することは難しいでしょう。

 しかし、日常生活の中で、さまざまなことに、いつもよりちょっと時間をかけて「観」じてみるのはいかがでしょう?

  例えば出勤や通学の時、家を出る時間を10分早めて、いつもよりゆっくり歩いてみるのです。駅までの途中の景色に目もくれず、焦って歩いていた(走っていた?)のをやめるだけで、一日が全く違うものになってきます。

 空の色に気が付く、ご近所の花に気が付く、知り合いの人とにこやかに挨拶をかわせる。目で見て、耳で聞いて、風や太陽の温かさを感じて・・・・見逃していたものの多さにきっとビックリすることでしょう。

 朝起きはどうも苦手というなら、ランチの時に会社の近所をちょっと散歩してみるのもおすすめです。

 やがて、自分の心の動きにも、しっかり目を向けることができるようになるでしょう・・。これも、仏教徒の生き方の知恵です。

◎今日の写真も大阪市立陶磁器博物館で見た鼻煙壺です。緑色のガラスがとても美しくて、しばらく見とれていました。