慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

「また次の機会」はないと覚悟すべき

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 早朝の電話は恩師の急死の知らせでした。R師は、私が本山で修行をしていた時代の恩師です。講義を受けていたときには、私はずいぶんと生意気で反抗的な生徒でしたが、その後、不思議なご縁で近しくさせていただいていました。

 本山で行われた幾つかのプロジェクトに私を呼んで下さったこともあり、宗学の師以上にお世話になった方です。

 背も高く、骨格もがっしりしていて山登りが趣味。70歳を超えたばかりでしたから、まだまだ長生きしていただけるとばかり思っていました。

 しかし、人の命はまさに無常。いつ今生の別れがやってくるかわかりません。僧侶ですから、命の危うさ、もろさについては覚悟しているつもりだったのですが・・・

 深く後悔しているのは、今年の夏、R師が特別講義をなさる機会がありました。当日、私は朝からバタバタして、とうとうその講義の時間に間に合いませんでした。会場のお寺に近づくと、ちょうどR師が門を出てくるところ。

 私は恥ずかしくて、きちんとご挨拶もできないありさまでした。

 結局、それが恩師との最後の会話になってしまったのです。本当に無念で哀しい。

 人と出会うとき、「また次の機会にゆっくりお話すればいいや・・・」と思って折角の縁をないがしろにしてしまってはいけないと、お釈迦様はお教え下さっています。

 まず、朝、家を出るときの家族への挨拶を大切にしたいものです。腹を立てて、ぞんざいな言葉をかけたりしていませんか?慌てて飛び出して、「行ってきます!」も言わずに家を出ていませんか?

  友達と会うときも、心をこめて会話していますか?

 「一期一会」という言葉を今、改めてかみしめています。

◎今日の写真は大阪の法善寺で見たお釈迦様の石板です。「二河白道の教え」をモチーフにしたものでしょう。