慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

お塔婆とは・・・・Part1

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 先日、あるお宅で七回忌の法要をさせていただきました。その時、お塔婆を書かせていただき、塔婆の意味についてお話したところ、「今まで、塔婆の意味についてきちんと教えていただいたことがなかった。」と喜んでいただきました。

 お塔婆は正式には「卒塔婆」といい、仏塔を表すサンスクリット語の「ストゥーバ」の発音を漢字に置き換えたものです。

 お釈迦様の御遺骨(仏舎利)をストゥーバにおさめて礼拝する「仏舎利信仰」は、インドから始まり、日本にも伝えられました。仏塔を建てたり、寺院の建立したりすることは布施行の中でも特に功徳の大きな善行とされているのです。

 卒塔婆は、このストゥーバを板で象徴したもので、仏塔を建立するのと同じ善行を行い、その功徳を故人への追善供養としたことを表しています。つまり、仏塔を建てた功徳を故人へ捧げて廻向することを表しているのです。

 塔婆の上部の縁に切れ込みがあるのは、五輪の塔の形を象徴的に表しています。五輪の石塔を始め、五重の塔、七重の塔なども、みなストゥーバへ信仰の流れをくんで建てられたものなのです。

 廻向というのは、自分の行った善行の功徳を他の人に与えることです。お浄土で修行をしていらっしゃる故人に、感謝と励ましの心を送ることでもあります。

 忘れてならないのは、廻向はけして一方通行ではないことです。私たちがご先祖を供養するとき、必ずご浄土からも私たちへの供養が行われているのです。この「供養」とは、先にお浄土へ行ったご先祖や大切な人たちが、私たちを「励ましてくれる」とか「護ってくれる」と言い換えても良いでしょう。

 次回はお寺からいただいたお塔婆をどう扱えば良いのかということについてお話いたします。

◎今日の写真はインターネットの無料画像からお借りした塔婆の写真です。宗派によって塔婆の形や書かれる内容は少し違います。