上の写真は1888年に出版されたトーマス・クックの時刻表です。クックは近代的な旅行ガイド本を初めて書いた人と言われています。もちろん、江戸時代にも伊勢参りや東海道の「道中」のハンドブックのような本は日本にもありましたが・・・
一般の人が、ガイド本を持って、レジャーとしての「旅」に行くという時代を開いたのがクックだったのです。彼が「団体旅行」というコンセプトを作り、旅行代理店の業務というものの基本を作ったと言って良いでしょう。
私も旅行ガイド本を書いて数十年ご飯を食べていたので、クックは大切な恩人と思っています。トーマス・クックのトラベラーズチェックを持ってヨーロッパを旅した興奮も思い出しました。
トーマス・クック社破産のニュースは、正に諸行無常・・・新しい時代を開いた会社が、時代の動きに適切な反応ができなくなっていったということでしょう。
飛行機やホテルの手配の手数料で旅行会社が儲ける時代はすでに終わっていますが、計画や準備をプロにまかせて、ゆったり旅行をしたいという人々はけしてなくならないでしょう。むしろ、今こそ旅行会社が工夫をこらした旅を提供する腕の見せ所にきていると思います。
値段の安さだけで競争していては、結局「自分でネットでやった方が安い」に勝てないでしょう。でも、旅行会社にどれだけの知識とアイディアの蓄積があるかが問題です。
まあ、お寺も同じ。檀家さんたちの「ご先祖への思い」だけに頼っていては寺離れが進むのを止めることはできないでしょう。
人々の心の奥にある本当の苦しみ・・・お金や病気直しだけでは解決しない苦しみ・・・に仏教がどう寄り添えるかが問題だと思います。
しかし、今日もだらだらしている慈雲寺の坊主は偉そうなことは言えないけど・・・