慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

乞食(こつじき)の暮らし

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 僧侶は本来、毎朝托鉢に出かけ、そこで供養していただいた食べ物を食べて一日を暮らします。托鉢で何もいただけなければそれまで・・・お釈迦様もそうして暮らしておいででした。

 一年のうちの暑くて雨の多い時期は、信者の方々が用意して下さった場所に留まって「安居」の時を過ごしますが、通常はお説法をしては次の場所に移る「遊行」の暮らしが基本です。お釈迦様もそうしておられた・・・

 今でも、禅宗の僧侶たちは修行の一つとして托鉢に出ますね。まあ、集めるのはお金のようですが・・・

 こんな風に僧侶はほんらい乞食(こつじき)、つまりその日の食を乞うて生きていくものなのです・・・まあ、お釈迦様の時代のは状況が大きく変わっていますから、そのままというわけにはいきませんね。

 しかし、さいきん慈雲寺の暮らしはまさに乞食状態です。あ、托鉢に出るわけではありませんが、皆さまがお供えして下さるもので、ほぼ暮らしている状態です。

 慈雲寺は名古屋市内にありますが、まだ周辺には畑や果樹園が残っています。専業農家でなくても、自分の家で食べるものは、自分の畑で作るという人も少なくありません。そんな方の中には、昔からの習慣で「初物はお寺にお供えさせてもらう」という方がいらっしゃるのです。

 ナスやキュウリ、トマト、そして私の大好きな桃・・・夏の恵を次々とお供えしていただき、私も仏様の御相伴にあずかっています。

 

 食べ物だけでなく、先日、「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」を再開したら、「人が集まるのに、庵主様のことだから除菌の用意もしていないだろう・・・」と考えた(?)方が除菌ジェルまでお供えして下さいました。

 いや、除菌ジェルは前日に思い出して、用意はしてあったのですが・・・来月の会の時に喜んで使わせていただきます。そういえば、マスクのお供えもあったなぁ・・・「あの庵主さんのことだから、チャッチャと入手するなんてことはできっこない」と思ったようです。

 隠しても隠し切れない間抜けぶりというのが、みんなに知られてしまうのも、あながち悪いことではなさそうです。

 

 さて、今日はお供えの人参と大根を生かして、何の料理を作りましょうか・・・

◎今日の写真は、慈雲寺の近くを通る旧東海道の有松周辺の家並みです。電柱を地下に埋めたせいで、まるで江戸時代です。私は30年ほど前に、東京から京都まで旧東海道を全部歩きました。そのお話はまた別の機会に・・・