慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

現実から逃亡するための出家なら、自力の宗派はどうでしょう? Part1

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 前回のブログに、出家を考えている方におすすめの本の話を書いたところ、いつも鋭い質問やコメントを残してくださるももはなさんが

「さっき、尼僧志願のおばちゃまが居たよ。
現実逃避したいみたい
NHKの尼寺の番組とベニシアさんの影響の様です」というコメントを書き込んで下さいました。

 NHKのその番組は知らないし、ベニシアさんも知らなかったので、グーグルで検索してみました。英国貴族の末裔で、大原にお住まい・・・絵になりますね。素敵な方のようです。でも京都には藤原貴族の末裔や旧皇族などどっさりいるし、別に英国貴族でなくても素敵な人はたくさんいるのに・・・キーワードは「英国貴族」かな?と意地悪な気持ちがちょっと湧いてきました。

 

 あ、それはともかく、留学・結婚、そして出家は現実逃避の三大ルート。まあ、仏縁はどんなものでもかまわないし、誰もが必死、真剣に発心しなければいけないというわけではありません。「新しい自動車買ってやるから、本山へ行きなさい」と言われて、いやいや坊主頭にしたお寺の子供が、徳の高い僧侶に成長する例もたくさんあるからです。

 しかし、現実逃避だけで留学しても結婚しても、夢想していたような「幸せ」が展開する率はかなり低いのでは?

 でも、動機はどうあれ、尼僧になりたい人が増えるのは歓迎です。そこで、現実からの逃亡におすすめなのは、厳しい修行を課せられる自力の宗派が良いのではないでしょうか?

 私は、短期間の体験修行(雑誌の取材でした)で、密教系のお寺に入ったことがあります。滝行や長時間の読経、何十回も立ったり座ったりする拝礼など、肉体的な苦行(と言えるほどやったわけではありませんが・・・)は、かなりの達成感がありました。数日であの気持ちになれたのですから、もしかしたら、現実から逃避に成功するか、逃避せずに向かい合う勇気と体力を得ることができるかもしれません。

 実際にきちんと修行したわけではないので、「かもしれない」しか言えないので、無責任な発言になってしまいますが、出家を考えている方には、「修行」のありかたの側面も考えていただきたいと思っています。

◎今日の写真は、カナダ・バンクーバーのスタンレー公園にあるトーテムポールです。今頃のバンクーバーは、湿気の少ない爽やかな青空が続いていることでしょう・・・ホームシック