慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

お盆には亡き人のディテールを思い出して

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 極楽へ迎え取られた人は、6つの神通力を持つことができるとお経の中に説かれています。その神通力の一つに、「場所や時間にとらわれず、どこへでも行ける」というのがあります。私たちが亡くなった人のことを思うとき、必ずその思いに寄り添ってくれることができるのです。お盆にならなければ帰ってこられないわけではありません。

 しかし、私たち日本人にとってお盆はやはり特別な時期です。お墓や仏壇を清め、お寺にお参りして、祖先のことを思い、亡き人を彼岸から此岸へ迎える特別な日々なのです。

 この特別な日々をどう過ごしていけば良いでしょう。いろいろお勧めしたいことはあります。精霊棚の飾り方やお供えの仕方にこだわるのも大切ですが、「亡き人を思う」ことが一番大事なのではないでしょうか?

 その「思い出」はさまざまでしょうが、この特別な日々の間は、特にディテールにこだわってみませんか?故人が語った言葉を思い出すなら、その時の声の調子や張り、目の輝き、手の動き、着ていた服を思い出してみませんか?

 好きだった食べ物を思い出すなら、一緒に出掛けたレストランのこと、その時に状況、出会った人々などなど・・・細部にこだわって思い出してみましょう。

 自分が何を細部までおぼえていたかを知ると、思い出の意味が変わるかもしれないし、深まるかもしれません。

 その時に同席していた人がいるなら、自分の記憶と比べてみてはどうでしょう?記憶というのはとても不思議なもので、同じ場所にいて、同じ言葉を聞いたとしても、記憶の残り方は大きく違うこともしばしば。

 今年は帰省をあきらめる人も多いかもしれませんね。たとえ会えなくても、電話で話しても良いし、自分の記憶を手紙にしてみるのもおすすめです。

 

◎今日の写真はご近所の畑のトマトです。今年は梅雨が長かったので、野菜を育てるのはなかなか大変だったようです。