慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

地蔵盆のお知らせ: 8月31日、慈雲寺の秘仏「地蔵菩薩像」の御開帳を行います。

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旧暦の7月24日は地蔵盆。今年は8月31日です。

 

 お地蔵様は、地蔵菩薩という菩薩様で、地獄まで降りていって私たちに救いの手を差し伸べてくださる優しい方です。

 慈雲寺にも境内の入り口と、墓地の入り口に地蔵堂があります。江戸時代に道の分かれる場所などに祀られていたお地蔵様を慈雲寺が引き取るかたちでご縁ができたものと思われます。

 そして毎月24日はお地蔵様の御縁日です。特に、旧暦の7月24日は地蔵盆として、子供たちが健やかで幸せに成長することを祈る特別な御縁日です。

 地方によっては、まだ子供たちが自分たちで縁日の用意をし、子供たちだけで一日楽しく過ごす習慣が残っているところもあるようです。

 桶狭間周辺では残念ながら、その習慣は廃れてしまったようですが、慈雲寺では少しずつ復活の準備をしていきたいと思っています。

 今年の地蔵盆(旧暦の7月24日)は、私たちが現在使っているカレンダーでは、8月31日にあたります。

 当日は、普段は秘仏として本堂のお祀りしている地蔵菩薩像の御開帳をいたします。

 一日中、いつでもお参りしていただけますので、ご自由に本堂に上がり、お地蔵さまとのご縁を深めてください。お子さん、お孫さん、地域の子供たちの健康と幸せを願いましょう。

 

 

8月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」(8月29日)のおしらせ。今月のテーマは「戒名」です。

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インドのブッダガヤでいただいたモーニングティ

 

 愛知県にも緊急事態宣言が出されそうなので、今月の仏教講座を開くべきかどうか思案していました。しかし、今日の中日新聞に講座の告知が出ましたので、中止にして無駄足となってしまうのも申し訳ないので、実行することにいたします。

 

8月29日(日)10時より行います。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。アクセスの情報や地図は慈雲寺のホームページ jiunji.weebly.comの contactをクリックすると出てきます。

 今月のテーマは「戒名」についてです。

 

 戒名は何のために授けられるのか?、なぜ浄土真宗では戒名ではなく法名なのか?、戒名は自分でつけても良いのか?、戒名にはランクがあるのか?、戒名に値段があるのか?・・・・など、基本的な疑問をご一緒に考えてみようと思います。

 

 なお、このテーマは今後も時々取り上げるつもりですので、緊急事態宣言が出された場合は、どうぞご無理をなさいませんように・・・

 慈雲寺では本堂の入り口に除菌ジェルを用意していますので、手指の消毒をお願いいたします。また、お茶やお菓子は用意しますが、コップは紙コップをご利用下さい。

 講座後の茶話会は当分お休みいたします。

魚のおいしい土地の近くに住める喜び

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海の幸がテーブル一杯のランチ!

 慈雲寺は住所は名古屋市内ですが、知多半島の北端に位置していると言った方が正確ではないかと思っています。

 ここに赴任する以前、知多半島のお寺で何度かお説教をさせていただく機会に恵まれました。その度にそれはそれは美味しい海の幸をご馳走していただきました。各種のお刺身はもちろん、茹でたての蛸、渡り蟹、蝦蛄、海老、貝類・・・季節ごとに違う「旬の魚介類」。伊勢湾に面したエリアに住む人々がとてもうらやましく思っていたのです。

 私はカナダの西海岸、海の見えるところに長く住みましたから、魚介類の美味しい地域に住める幸せが格別なのを知っていました。そして、嬉しいご縁で知多半島にやってきたと言うわけです。

 ご近所のスーパーにも伊勢湾や三河湾で取れた魚介類が並んでいますから、慈雲寺の台所のグリルは大活躍しています。

 

 さて、昨日は太陰暦の7月15日。この日に徳の高い僧侶に供養すると、大きな功徳が得られるとか・・・そのためか、とびきり新鮮で美味しい海鮮料理のランチにご招待していただきました。いや・・・別に私の「徳」を認めてくださってのご招待ではないことはすぐにわかってしまったのですが・・・・

 三河湾の穏やかな海や島影を眺めながら、良きご縁と美味の幸せをかみ締めた一日でした。

 

 

 

今日(8月22日:旧暦7月15日)は「赦罪大帝」がやって来る!?  満月写経の会のお知らせ

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中元は道教由来の行事。太陰暦の7月15日に贈るものです。

 

 お中元を贈る習慣は、もともとは道教の三元説に基づいた宗教的な慣習でした。道教では一年を三つの「元」に分け、それぞれを司る神を祭ります。太陰暦(旧暦)の7月15日は赦罪大帝がおいでになる中元の祭り。この日は、祖先が犯した罪を赦してもらえるように子孫が願ってあげる日です。

 この慣習が仏教の盂蘭盆会と結びついて「お盆」の慣習になっていったと言われています。

 今年の中元は、現在私たちが使っているカレンダーでは8月22日です。満月の夜ですから慈雲寺では月例の写経の会を行います。

 自分たちの行いを静かに省みながら、美しい満月を楽しみましょう。

 

夜7時半より、『般若心経』の読経をご一緒にいたします。毎月少ずつ心経の内容についてもご一緒に学んでいきましょう。

 7時半より前にいらして写経を始められても結構ですし、遅くなってもかまいません。必要な道具はすべてそろっていますので、どなたでもお気軽にご参加ください。

今日から本当の(?)お盆。徳の高いお坊さんに会いに行こう!

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インドのベナレスの町。人はせかせか、牛はのんびり。

 お盆の仏教的な根拠となっている『盂蘭盆経』によれば、太陰暦(旧暦)の7月15日は、夏の修行期間を終えた僧侶たちが、その期間中の自分の行いについて反省する「自恣」の日です。この日に徳の高い僧侶に供養すれば、その功徳にあずかることができるとされています。

 旧暦の7月15日は、今私たちが使っている暦では、今年は8月22日です。

「修行者が清浄な戒を保つことができれば、その徳は広々とゆきわたるだろう」とお釈迦さまはおっしゃっています。

 お盆は徳の高いお坊さんに供養する・・・というのがポイントだった!

 

 ”偉い”とされている大きなお寺の御住職に会いに行くのも良いでしょうが、まじめにコツコツ修行をしている若い僧侶、人知れず奉仕活動を続けている僧侶、自らの行いを反省することを忘れない僧侶・・・・そんな徳の高いお坊さんにぜひ会いに行ってください。

 上の項目に全部当てはまるので、慈雲寺に来てね!・・・と言えないところが情けないですが。

今日は「戦没者を追悼し平和を祈念する日」。哀しみの雨の一日・・・・

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和歌山の穏やかな海です。世界の全ての人が穏やかに暮らせる日が早く来ますように。

 「お盆のお参りのご相談に応じます」というポスターを出してみたら、「突然で申し訳ありませんが、今からお願いできますか」と声をかけて下さる方が毎年少しずつ増えています。

 それぞれのお宅へ伺うのではなく、慈雲寺の本堂でお盆の御供養をさせていただくことも多くなりました。

 今回は、盛り花のお供えをして下さった方があったので、お盆の期間中に境内や本堂の仏花を何度も替えることができて本当に有り難かったです。

 今朝も本堂の仏花を新しくして、戦没者の方々のためにお経をあげさせていただきました。

 

 私の父は、終戦直前に予備士官学校を出て少尉としてインドネシアの戦場に行きました。戦争後は収容所に入れられ、最後の引き上げ船で戻ってきたそうです。

 父は戦争の話しはめったにしませんでしたが、「戦場では誠実な人から死んでいく。生き残った奴はどこかで狡い行動をしている」と言っていました。また、「自分の未熟な指揮で何人もの兵士が死んだ。遺体をそのままジャングルに置いてきたこともある。だから自分は葬式をしてもらう資格はない」とも言っていました。

 その言葉通り、父は早々に献体を決めてしまいました。

 父は戦争に深く傷ついたし、自分を許してもいなかったのでしょう。

 

 私が子供の時、父は笑わない人でした。機嫌が悪いとか癇癪もちというわけではないのに、まるで「笑ってはいけない」と自分に制御をかけているかのようでした。

 ですから、中学の制服を着た父が大きく口を開けて笑っている写真を祖母の家で見たときは本当に驚きました。

 

 戦争を体験したしたことによるトラウマや罪悪感を抱えた人間が、周囲の人間、とりわけ家族、子供に与える影響について研究した方はおられるでしょうか?「兵士の子」の問題については、ベトナムからのアメリカ人帰還兵とその家族のことについての本は読んだことがあるのですが・・・心に傷を負った人間に育てられたら、その子供達に影響が出ないわけはないでしょうし・・・・

 

 桶狭間周辺では、雨脚も穏やかになり、まるで終戦記念日の哀しみ天が嘆いているような雨でした。

 

新しい花が飾られたお墓を眺めるのは嬉しい・・・

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「丁寧に墓掃除をすると、とてもさわやかな気持ちになれる」と語る方がたくさんいらっしゃいます。

 名古屋周辺は警戒警報が出るほどの雨が続いていますが、小降りになるのを見計らうようにお墓参りにいらっしゃる方々が続いています。

 慈雲寺は成立は少々特殊な尼寺で、伝統的な意味での「檀家」さまはおられません。しかし、境内にお墓が少し並んでいます。

 桶狭間の周辺は、もともとお寺の墓地ではなく、地域の共同墓地にお墓を持っている家がほとんどでした。しかし、第二次大戦後、名古屋市平和公園に大規模な霊園を開発し、墓地を集中させようとしました。整理された共同墓地の土地を利用して、学校などの公共施設を充実させようとしたのです。

 しかし、多くの住民は遠くにある広大な霊園に移るより、地元でお墓を守りたいという気持ちがあったようです。ちょうど(?)そのころ、財政的に貧窮していた慈雲寺は地元の要望に応える形に墓地の開発を始めました。

 ということで、慈雲寺にはお墓はありますが、慈雲寺の檀家さまではなく、もともとの菩提寺の檀家のままです。もちろん、お墓があるというご縁を大切にしてくださる方々ばかりなので、慈雲寺もさまざまな意味で助けていただいています。

 

 というわけで、お墓の多くはご近所に住んでいる家族が墓守を受け継いでくださっているので、普段からお参りに来る方も多いのです。しかし、家族が地元を離れた家もあ増えてきたので、普段はお花も枯れたままというお墓も少しずつですが増えてきました。

 しかし、お盆やお彼岸のときは、お墓参りにおいでになる方も多く、丁寧に雑草を抜いたり、お墓を磨いたりして、きれいな花が供えられています。こんな様子を見ると、嬉しい・・・というか、ホッとする気持ちになります。

 

◎桶を置いてある場所に、草刈鎌や雑草を抜く用具を用意しましたので、どうぞご利用ください。