朝の勤行を終えてラジオをつけると、後藤氏が殺害されたとのニュースが入ってきた。いたましい思いで、もう一度本堂に戻って冥福を祈ろうとしたとき、安倍総理のインタビューが聞こえてきました。首相の発言はいつも不明瞭で良く聞こえないのですが、イスラム国の行為を激しく非難し、「その罪を償わせる」と言ったのは鋭く耳をうちました。
人質の殺害は到底ゆるされることではありませんが、一国の首相が状況の把握もまだ十分でないうちに、有志連合国と一緒に「罪を償わせる」すなわち「復讐する」と宣言するのは、あまりにも軽率です。イスラム国への、いや、イスラム教徒全体へ憎悪が高まるのを利用して、集団的自衛権や自衛隊の海外派遣などの政策を進めようとしているのではと疑いの気持ちがわいてきてしまいます。
イスラム国は悪で、それを滅ぼすための空爆は善なのでしょうか?仏教ではあらゆる殺人を認めません。暴力に暴力を持って対抗したり、恨みに恨みをもってむくいるなら、問題はいつまでたっても解決しないと思います。日本は常に中立であり、平和をのぞみ、人道的支援をする国なのだという立場をさらに明確にしなければ、これからは海外で働く日本人や開発援助などに携わる日本人が大きな危険にさらされることになるでしょう。
・今日の写真はフィンランドの伝統的な刺繍です。人々が穏やかな気持ちで、愛情をこめて刺繍を楽しめるような平和でときが中東にもおとずれることを祈らずにはいられません。