このごろ、「いい部屋ネット」という賃貸情報の会社のCMがテレビで放送されます。短いドラマ仕立てになっていて、続きが見たかったら会社のサイトへどうぞ・・・というなかなかニクイ演出です。幾つかのストーリーがあるようなのですが、最近のは可愛らしいおばあさんが「なんまんだぶ」と若い女性に手を合わせているシーン。思わず検索してサイトを見たくなりました。
どうやら、就活中らしい若い女性がバスに乗り込んできたおばあさんに席をゆずってあげたら、おばあさんが「面接に行くなら私がうまくいくように祈ってあげましょう」と言って、「なんまんだぶ、なんまんだぶ」と称えるのです。すると、その女性は「それじゃぁ、かえって縁起が悪いですよぉ」と言って笑い、車内の人達も笑いに包まれるというシーン。結局、そのバスに希望の就職先の面接担当者が乗っていて、一部始終を見ていた・・・というハッピーエンドになっています。
しかし!「なんまんだぶ」つまり「南無阿弥陀仏」は縁起が悪い???!!しかも、その車内の誰一人、「念仏は縁起が悪いものではない」とも言わず、笑ったってことは、「なんまんだぶ」は縁起が悪いものというのは、みんなの共通認識ってことですかねぇ・・・・いやぁ・・・これは困ったことです。
仏教界を震撼とさせるような大問題じゃないですかぁ。念仏は葬式の時や仏壇の前で称えるもので、縁起が悪い状況と直結しているというのでしょうか?このCMの製作者も、台本を書いた人も、スポンサーも誰一人疑問に思わなかった????う~~~ん。情けなすぎる・・・・宗門としてきちんと抗議すべき?いや、これが現実であるとしたら、僧侶の責任も重いと思います。
これは現在の仏教のありかたが葬式と一直線になっているからではないかと思います。その責任の多くは、やはりきちんと布教に力をいれない僧侶の側にあると思います。仏教は、そしてお寺、僧侶は、ご先祖の供養をするのはもちろんですが、一番大事なのは生きている人々の苦しみを少しでもやわらげ、穏やかに暮らすための智慧を育むことです。
お念仏とは、私たちすべてが阿弥陀仏の広大な慈悲に包まれ、一切の条件をつけずに救われていることを知り、喜びのあまり口からこぼれ出てくるものです。本来、明るく、希望に満ちたものなのです。
・今日の写真は、バンクーバーの自宅から眺めた朝焼けです。うっすらと見える山影はアメリカのワシントン州にあるマウント・ベーカーです。