慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

お戒壇めぐりは「お化け屋敷」じゃありませぬ!

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 昨日のブログにも書きましたが、一泊二日で六ヶ所の善光寺同時御開帳を参拝するツアーに参加しました。善光寺といえばお戒壇めぐりが欠かせません。今回お参りした各地の善光寺にもお戒壇が作られています。

 戒壇めぐりとは、本堂の地下に回廊が設けられており、入口の階段を下りれば漆黒の闇。壁に手を触れながら歩いて行くと、ご本尊の真下に大きな錠前が取り付けられており、これが極楽の入口の錠だとか。暗闇の中でその錠前をさぐりあてることができたら、極楽行きは間違いないと言い伝えられています。

 真っ暗な中を通って極楽の入口まで行くというのは、一種の「死」の疑似体験。暗闇から再び光の世界へ生まれ変わるという体験でもあるでしょう。ですから、できるだけ厳粛な雰囲気が理想的なはずです。

 ところが・・・・今回は団体でしたし、七年ぶりの御開帳とあって人がいっぱい。次々と人がお戒壇めぐりにやってきます。そして、大騒さわぎ・・。「きゃ~~怖い~~~」叫びまくり、「次曲がるわよ~~」などとコースを教え、「錠前はここよ!」と仲間を呼ぶ・・・これじゃあ、厳粛な「死の疑似体験」どころの騒ぎではありません。念仏でも静かに唱えながら、「闇」のもつ不思議なパワーに心を震わせ、錠前にたどり着けるのか心配しながら、おぼつかない足取りで壁をつたっていくからこそ、錠前に触れた喜びが感動になるのだし、再び光が見えることのありがたさが体験できるのに・・・遊園地のお化け屋敷みたいな大騒ぎでは台無しだ!

 お寺側も、事故防止とか大人数を扱いやすくするためか、いろいろと「台無し仕掛け」を設定しています。ある寺では、壁に紐を張って、それをたどっていけば、紐と同じ高さのところに錠前がありました。つまり錠前を探さなくて良い・・・つまらん!

 別のお寺では蛍光塗料を塗ったブレスレットを付けさせます。闇の中にボンヤリ浮かび上がるブレスレットのおかげで、前を歩く人たちの存在がわかり、あぶなくない・・・・う~~~ん・・・不安感や危機感無しの戒壇めぐりでは何もならないのでは?

 と、いうわけで、戒壇めぐりはできるだけ人のいないときがおすすめです。

・今日の写真は長野県飯田市元善光寺近くにあった枝垂れ桜です。名古屋ではすっかり散ってしまった桜ですが、長野県ではここ数日が最も美しいタイミングだったようで、今年は桜の満開を二度楽しませていただきました。