人はいくつになっても、「人間としての尊厳を保って生きる」ということが大切です。介護も「お世話をする」というのではなく、「尊厳を保つためのお手伝い」ととらえるべきではないでしょうか?
その「尊厳を保って生きる」ことの基本条件はさまざまですが、「他の人の役に立つ」というのが大きな要素になると思います。人の為にできることがあるということは自己のプライドを支え、生きがいに通じるからです。そして、これこそ、仏教徒としての生き方の基本、「悪いことを控える、良いことをする、他人のためにできることをさせてもらう」という菩薩行に通じるのです。
自分の家の中に「してあげる」ことが少なくなったら、何かできることはないかと、別の視点から探してみましょう。例えば、庭にきれいな花を咲かせ、道行く人の目を楽しませるのは立派な「布施行」、菩薩の道です。また、笑顔を向け、優しい言葉を掛けるのも「布施行」です。
先日、「うちでは、お嫁さんが自分のやり方で全てやっているので、私は手が出せない。」とおっしゃる方がいました。そんな時はぜひお寺においでください!お掃除も草引きも大歓迎ですよ。あなたのできる範囲で毎日少しずつ手伝っていくだされば、仏様も私も大喜びです。写経をしてご先祖や多くの人々に回向するのも「人の役に立つこと」ですね。
もし、体を動かすのも難しい状態になってしまったら、どうぞもっとお念仏を称えてください。みんなの平穏な暮らし、世界の平和などなど、他の人に功徳を回向する祈りはとても大切なことです。
◎今日の写真はカナダのトロントにあるユニークなクッション屋さんです。