慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

怨みは怨みによって鎮まらない

f:id:jiunji:20160718214503j:plain

「怨みは怨みによって鎮まらない。怨みを忘れて、はじめて怨みは鎮まる」

 この言葉は、第二次世界大戦後の講和条約の場で、スリランカが日本に対する賠償請求権を放棄した時に、スリランカ代表が引用した言葉です。この言葉は、『法句経』という経典の中でお釈迦さまが説かれた教えです。

 最近連日テロ事件や銃撃事件、クーデターなどのニュースが新聞の一面に大きく取り上げられています。私は、「テロ」という言葉を使えば、それ以上の暴力で報復することが正義だと言わんばかりの状況はとても悲しいものだと思っています。

 仏教徒はあらゆる暴力を否定しますから、たとえ厳しい抑圧を跳ね返す手段だとしても「テロ」は許されるものではありません。しかし、「テロの制裁」とか「テロを押さえつける」との理由で、一般人がたくさんいるコミュニティを爆撃したりする報復は、何も解決しないでしょう。

 怨みを怨みで押さえつけようとしても鎮まることは決してありません。さらなる怒りを掻き立て、怨みを深めるだけなのです。「テロへの戦い」などという言葉は「怨みを怨みで報復する」ということに他ならないでしょう。

 怨みや憎しみを捨て、怨みの連鎖を断ち切ることによって、穏やかで楽しい暮らしをしようとするのが仏教徒の生き方なのです。

◎今日の写真は涼しそうな富士山。名古屋地方は今日梅雨明けが宣言されました。夏本番の開幕にちょっと涼んでください。