慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

忘却は罪である

お釈迦さまのお言葉

「すべての者は暴力に怯え

すべての者に命はいとしい

わが身にひき比べて 殺してはならない

殺させてはならない」(法句経より)

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 今朝の朝日新聞に衝撃的な広告が出ていました。左側の一面には真珠湾を攻撃する日本の戦闘機の写真、右側には原爆の写真が掲載され、これらの写真の下には

「忘却は罪である

 人間は過ちを犯す。しかし学ぶことができる。世界平和は、人間の宿題である。」

という二行の文と、「宝島社」という出版社の名前だけが書かれていました。

 宝島社は、おまけのどっさりついたファッション誌から禅宗の思想書のようなものまで広い範囲でユニークな企画の本をたくさん出している出版社です。

 今朝の広告がいったい何を意図したものか、とても興味があります。この出版社は『日本の戦争を終わらせた人々』なんて本も出しているので、明日あたりこの続きの広告が出て、新しい本の宣伝なんてこともあるかも???それとも、宝島社は全社をあげて、この「忘却は罪である」をこれから出版の基調にしますという宣言でしょうか?そうだとすると、今の時期になかなか骨のある出版社ということになります。

 

 冒頭のお釈迦様のお言葉のように、仏教徒はいかなる理由があっても戦争という悲惨な暴力行為を肯定することはできません。殺しても殺させてもいけないからです。

 私たち日本人は、たった(!)70年前に、極めて高い代償を払って、戦争を放棄し、人類に平和の道を開くチャンスを得たのです。この大切な役割を忘れてはならないでしょう。

 宝島社の意図がどうであれ、今日の広告は私に大切なことを思い出させてくれました。

◎今日の写真はウズベキスタン国立博物館で見た壁画です。象と虎(豹かな?)が戦っているところのようです。