前回の記事で、慈雲寺に社会見学に来た小学生のお話しを書きました。どの子供も可愛らしく、知的好奇心もたっぷりありそうな良い子たちでしたが、一人、特に印象的な子供がいました。
子供たちは、本堂の中で椅子に座ってもらってお話しをしたのですが、その子(Aさんとしましょうか)だけは、正座をして背筋をまっすぐに伸ばして聞いています。「身じろぎもしない」という言葉がぴったり。緊張しているようではなく、なんだか「気合を入れて拝聴」という感じでした。
本堂での説明が終わった後、庫裏に子供たちを入れ、床の間の飾りの説明などをしていたのですが、Aさんは、阿弥陀様の来迎の様子を描いた掛け軸の前に正座。やがて頭を畳に擦り付けるように深く礼をして、そのまましばらく動きません。私はあえて声をかけず、そのままにしていました。
最後に本堂へ戻り、短いお経を読んで、お焼香の体験をしてもらったのですが、終わって、ふと振り返ると、Aさんが眠っているではありませんか!まあ、小学二年生ですから、居眠りしたくなる子もいるだろう・・・と、思ったのですが、クラスメイトがAさんの体をゆすっても全く目を覚ましません。
最初に思ったのは、「ひょっとして、小児糖尿病でインシュリンショックか?」ということでした。次に思ったのは、ふざけて寝たふりをしている・・・でも、それにしては体全体から力が抜けているのです。先生や級友に起こされても、反応なし・・・
なんだか深い瞑想状態・・・トランス状態みたいな感じなのです。
えっ!?私の読経でトランス状態に入ったか???
まあ、木魚のリズムは催眠効果があるしなぁ・・・なんて、短い間にいろいろ考えてしまいました。
Aさんは、引率の先生にゆすぶられてようやく目を覚ましました。居眠りの途中で起こされたというのとは、ちょっと違う感じ・・・寝たふりをしていたなら大した演技力です。でも・・・・ひょっとしたら、この子、かなり宗教的な素質があるのかも???
前世もお坊さんだったのかもしれませんね。将来、Aさんが、高僧伝を書かれるような僧侶になったら、慈雲寺でのエピソードもきっと「小学生のころから、深い瞑想に入ることができた」なんて、徳の高さの証明になるかも???
どちらにしても、とても興味深い性質のお子さんのようなので、これを機会に慈雲寺に遊びに来てくれるといいなぁ・・・
慈雲寺では、時々、子供たちが本堂に上がって、宿題をしたり遊んだりしています。お寺で遊んだことのある子供が増えてくれると嬉しいです。